『アブ首長国連邦はアメリカよりイランが怖いのか』

2019年6月29日

 アラブ首長連邦はサウジアラビアと連携して、イエメンと戦ってきた。そのために、しかるべき規模の軍隊を、イエメンに送り込んでいた。しかし、ここにきて、アラブ首長国連邦は突然イエメンから、軍を引き上げる、と言い出している。

 一体何があったのであろうか。一説には、イランとアメリカとの軍事緊張が、高まったために、アラブ首長国連邦は自国を守る、軍と装備が必要になったからだ、ということだがそうだであろうか。

 他方で、アラブ首長国連邦はイランが、タンカーを攻撃したという証拠は、挙がっていないと言っている。実はここに、アラブ首長国連邦がイエメンから、軍隊を引き上げる本当の理由が、隠されているのではないかと思える。

 つまり、アラブ首長国連邦はアメリカの、イランによる攻撃だという、嘘の断定によって、アメリカとイランとの軍事緊張が高まったことに憂慮しており、軽々にアメリカの主張を、擁護するようなことになれば、イランはアラブ首長国連邦を、攻撃する危険があるからではないのか。

 加えて、アラブ首長国連邦はイエメンからの攻撃も、警戒しているのではないか。既に、イエメンからのアラブ首長国連邦への、ドローンによる攻撃は始まっている。イエメンのドローンによる攻撃は拡大しており、サウジアラビアでは石油関連施設や、空港そして軍事施設なども、その攻撃の対象となったし、それなりの被害も出ているのだ。

 また、イエメン側はサウジアラビアのドローンを、撃墜してもいるのだ。なにやらイエメンの軍事攻撃力は、上がっていると見なければ、ならない状況ではないか。イエメンにしてみれば、サウジアラビアの攻撃で国民の60000人が死亡し、インフラや病院、学校が破壊されてもいる。

 こうした情況を総合的に判断すると、今回のアラブ首長国連邦が進めている、イエメンからの軍の撤退は、イランに対する配慮からではないのかと思える。イエメンでホウシ派を支援しているのはイランであり、アメリカによってタンカー攻撃を、非難されているのもイランだ。

 アラブ首長国連邦はこれまで、タンカーに対する攻撃でも、4隻の輸送船に対する攻撃でも、証拠不十分としてアメリカの、イラン非難には組しなかった。アラブ首長国連邦はアメリカの勝手な、証拠も提示しないイラン非難と、軍事攻撃に巻き込まれたくはない、ということであろう。