今日トルコから伝わってきたニュースは、悪いものばかりだ。最初のニュースは与党のAKPのユルドルム候補と、野党CHPのイマモール候補が、イスタンブールの市長選挙を前に、テレビ討論を行った。
その結果は、イマモール候補が46パーセントの支持を集め、6~7パーセンもユルドルム候補を、リードしたようだ。これはトルコにとっては、新しい時代の幕開けを意味しており、悪いニュースではあるまい。
既にイスタンブールでの野党の勝利を予測し、エルドアン大統領は対応策を、練り始めているらしい。その対応策とは、野党や国民に対する、大幅な妥協であり、政府の国民に対する締め付けは、和らぐだろう、と一部の人たちは予測している。
しかし、ほかのニュースはみな、歓迎できないものばかりだ。例えば、青年層の失業率が25パーセントと報告されており、この数字は昨年同期の数字と比べる、7・5パーセントも上がっているということだ。
全体でみると失業率は14・1パーセントであり、これは130万人の人たちが仕事に就けないでいるということだ。それは全体ではなく、このところ増えた数であり、この数はいままでの450万人の失業者に、加算されるのだ。
そうした失業率で分かるように、トルコの経済はどうも芳しくないようで、住宅販売数は5月の段階では、31・12パーセントも落ちているということだ。以前、デズニ―・ランドのようなお城の街が建設されたが、さっぱり売れなかった、というニュースが伝えられたが、その延長線にある、住宅産業の不振であろう。
住宅産業の不信は、家庭内の必要な電気製品、例えば洗濯機やエアコン、冷蔵庫、掃除機、テレビなど、すそ野の広いビジネスであるだけに、これは大きくマイナス効果を、生んでいることであろう。
こうした巷の不景気をどこ吹く風とばかりに、トルコ政府はイスタンブールの予算を使い切るつもりでいるようだ。あるいは持ち逃げするか、賄賂を取る算段であろうか。そんなことがまかり通るのは、トップがそうしたことを、やっているからではないのか。
このような国内の問題を無視し、トルコ政府はリビアの問題に、介入している。大量の戦闘車両や武器が、トルコからリビアのセラジ政権に、送られているということだ。トルコはこれまでリビアと、大きな取引関係にあったことから、何としても政権側を支援して勝たせ、その後のビジネスに繋げたいのであろう。
しかし、セラジ政権は所詮は国連の傀儡であり、何の力のバックもない。これまで、セラジ政権を支援してきたフランスのマクロン首相も、最近では距離を取り始めている。博打は負けが込んでくると、勘が鈍るそうだが、エルドアン大統領の勝負勘も、狂ってきているのであろうか。