『トルコがブルンバーグ・ムーデイズと喧嘩』

2019年6月15日

 ムーデイズ社はトルコの経済状態について、ジャンク・レベルだと酷評した。ジャンクとは述べるまでもなく、屑という意味だ。従って、トルコへの投資は、どぶに金を捨てるようなことだ、と言いたいのであろう。

 ムーデイズ社に言わせると、トルコは支払い能力に問題があり、その悪い状態は継続するという予測だ。加えて政府そのものが、デフォルトに向かうというのだから、たまるまい。そうした評価がムーデイズからなされ、トルコの評価はBa3レベルからB1に下げられた。昨年8月の時点でもムーデイズはトルコに対する評価をBa2からBa3に格下げしていた。

 これに対してトルコ側は、国内のインフレ率は下がっており、観光も活性化している、と反論している。従って、ムーデイズが下したような、評価を見ることは悲しいことだ、と語っている。これではトルコの努力は、評価されていないということだ、とも反論した。

 しかし、トルコがいま外貨減少というか、不足していることは、目に見えている。それには、623日のイスタンブール市長選挙に向けての、政府のドル売りが一つの原因があろう。それはリラが高くなることだ。

 これを見て国民は、一見トルコの経済が良好な状態にある、という錯覚に陥ろう。もちろん、それ以前にも外貨を借り入れて、メガ・プロジェクトを進めてきたことと、それに伴ってリラが下落し、支払いが厳しくなっていることも、一因であろう。

 加えて、最近では、ロシアのミサイルS400の購入をめぐり、アメリカの反発を食らい、経済的にも圧力を受けている。そして、それはトルコとアメリカとの関係を、大きく損なってもいる。

 加えて、トルイコ政府はブルンバーグのスタッフを逮捕し25年の刑に処すようだ。そんなことになれば、ますますトルコ経済への、評価は下がろう。その逮捕投獄の原因が、トルコ政府批判、トルコ経済への悪評価、というのだから馬鹿げているとしか、言いようがあるまい。

もちろん、こうしたトルコ製府の対応に対し、ブルンバーグ社は反発している。そして、それは一般のマスコミや経済評価会社にも、伝播することとなろう。トルコにとっては、あまりいいニュースではあるまい。