サウジアラビアがトルコの観光産業の、邪魔をしている、という報告がトルコ政府から出ている。トルコはサウジアラビアや、他のアラブ湾岸諸国の観光客にとって、最も魅力的な国の一つであろう。
と。ハラール観光が整っていること、そしてトルコへの観光に火をつけたのは、トルコの制作したテレビ・ドラマが、爆発的なヒットをしたことによろう。
このため、多くの人たちがトルコの文化に、興味を強めトルコ語の学習を、望むようになっているのだ。オスマン帝国にまつわるテレビ・ドラマは、インターネットを通じて、日本でも見ることが出来る。
トルコへの観光客で、サウジアラビアからは、2003年には23、676人だったものが、2018年には747、233人に増え、今年は最初の2か月で、すでに2万人を超えているのだ。それは、トルコには礼拝場所が多数あること、女性だけが泳げる海岸や、プール施設があることのよろう。
アラブ首長国連邦(UAE)からも、2003年には6、717人だったが、2018年には43、292人に増え、今年最初の2か月で、既に1400人が訪問している。トルコ観光の人気は、ますます高まっているということだ。
しかし、サウジアラビアの政府に近いマスコミである、リヤド・デイリーはトルコへの観光旅行を止めさせるような、キャンペーンを張っている。曰く、トルコは物価が他の国に比べて高いから不便だ、トルコではサウジアラビア人は危険に遭遇する。
トルコ人はサウジアラビア人を嫌っているのに、何故あそこへ行こうとするのか、といった調子だ。それは観光客だけではなく、ビジネスマンに対しても訴えているのだ。
この根底にあるのは、トルコとカタールとの関係が、良好であることに起因していよう。述べるまでもなく、カタールとサウジアラビアアラブ、首長国連邦(UAE)は、いま劣悪な関係にある。
そのカタールとトルコは、軍事協力、通商協力と深い関係になっている。他方、トルコとアメリカとの関係は、日に日に悪化している。トルコがロシア製のS400ミサイルを、購入することに、アメリカは反対しているからだ。
そして遂には、アメリカ政府はトルコ人パイロットの、アリゾナ基地でのF35操縦訓練を止めさせているのだ。そうしたトルコとアメリカとの関係を見て、サウジアラビアはトルコを攻撃しても問題ない、と判断したのかもしれない。
一説にはトルコがカシオギ殺害事件で、重要な証拠を大量に掴んでおり、サウジアラビアに圧力をかけている、という話もある。このためサウジアラビアは裏金を、トルコに脅し取られている、ということらしい。真偽のほどはわからないが。