中東短針

2019年6月11日

『中東短信』

:戦争の後は女子供が何時も犠牲

 戦争は男たちにとって、最も興奮し自分の存在感を、感じるときであろう。しかし、他方女子供にとっては、まさに地獄であろう。女たちはレイプされ、売られ、殺され、拷問を受けることになるし、子供たちは幼くして、人殺しを強要されたり、暴力受け、放置される。

 その子供たちがいま、シリアやイラクから他の場所に、移されようとしている。その行先は子供たちの父親である、戦闘員の出身国、ヨーロッパ諸国だ。なかでも、フランスへ送られる子供たちが、目立っている。

 それはフランスに居住していた、戦闘員たちの多くが、北アフリカ・オリジンのイスラム教徒たちだからだ。フランスには最近、14人の子供たちが引き取られ、行くことになったが、彼らはそこで差別、虐待、そして将来的貧困が、待ち受けているのではないのか。

 人間には差別することが快感という、神経があるのかもしれない。加えて、他者に対する暴力も、快感なのであろうか。世界の人間の中で、最も穏やかだとされる日本人でも、幼児子供への虐待がニュースで伝えられ、老人たちに対する暴力も、多く報告されている。

 

:身勝手なサウジアラビアとUAEのイラン攻撃希望

 カタール政府がアメリカによるイランに対する、攻撃を止めるよう、呼びかけているが、これに対して、サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)は、反対している。このサウジアラビアとUAEは、何としてもアメリカにイラン攻撃を、してほしいようだ。

 カタールはイランと良好な関係にあり、国民のほぼ半数がイランと同じシーア派ではないか、と思われる。加えて、カタールはサウジアラビアやUAEなどからの、敵対的立場をとられているため、次第にイランとの関係を強めている。

 こうしたことが背景にあって、カタールはアメリカに対し、イラン攻撃を控えるよう、要請しているのであろう。他方、サウジアラビアやUAE(アラブ首長国連邦)は、イランに敵対的な立場を取り続けてきているために、イランからの軍事攻撃を受ける不安を、強く抱いているのだ。

 そのためにサウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)アメリカに軍事攻撃をイランにかけさせ、自国の危険を回避したいということであろう。だか、これは余りにも乱暴な考えではなかろうか。身勝手と言えばまさに、身勝手な考えであろう。

 

:国連難民トルイコが引き受けろ

 国連は今後、シリアから大量の難民が、出ることを想定し、もし、彼らの立場が危険な場合には、トルコに逃げ込めと言い出している。トルコは既に、300万人と400万人ともいわれるシリア難民を、受け入れている国だ。

 この難民一人に一日1ドルの援助を、トルコ政府が支給したら、一年でどれだけの金額になるのか、考えているのだろうか。目の回るような金額に、なるものと思われる。読者にはそれぞれに、計算してみていただきた。

 こんな難民が出るのは、述べるまでもなく、アメリカのシリア介入だ。そしてシリアをめぐりアメリカとロシアの、利益が衝突しているのが、難民発生の原因なのだ。シリアの難民はトルコではなく、アメリカやロシアこそが、受け入れるべきではないのか。それを誰も言わない。