『米トルコのF35パイロット訓練中止』

2019年6月 8日

 アメリカ政府は受け入れていた、トルコのパイロットに対する、F35の操縦訓練の第一陣に続く、次の訓練員への指導も、止める方針だ。そうなると、誰がF35を操縦するのか、という単純な問題が生じてくる。

 トルコ政府はアメリカが製造した、最新鋭の戦闘機F35を、100機購入予定だ。もし、このまま操縦士に対する、訓練が止まってしまえば、トルコはF35の購入を止めようし、例え購入しても、それが実戦配備になるには、時間がかかろう。

 トルコ政府との100機のF35戦闘機の、取引が駄目になれば、アメリカ政府にとっては、大きな痛手となろう。それどころか、F35そのもののアメリカ軍における、実戦配備も難しくなるかもしれない。エルドアン大統領はアメリカが、トルコにF35を売らないのであれば、アメリカのF35計画は駄目になるだろう、と言っているのはそのためであろう。

 しかも、F35戦闘機の多くのパーツは、トルコで製造されているということのようだ。もし、アメリカがトルコに対して、F35の輸出を止めれば、トルコはロシアのスホイ戦闘機を、輸入することになり、それが続けば、トルコはロシアからの武器輸入の、範囲を広げることになろう。

 そもそもの起こりは、トルコがロシアからS400ミサイルを購入することに、アメリカが腹を立てて、決めたことだった。アメリカはトルコに対して、ロシアのS400ミサイルではなく、自国製のパトリオットを売りつける、つもりでいたからだ。

 しかし、いまの流れはそれに、完全に逆行しているのではないのか。トルコは何として、S400を買うと言って、アメリカに一歩も譲っていないし、そうなればアメリカからの、パトリオット・ミサイル購入の話は、立ち消えになってしまうのではないか。

 そうなると、アメリカはパトリオット・ミサイルと、F35戦闘機のトルコへの輸出を、全てあきらめなくてはなるまい。

 アメリカがトルコとの、武器取引で渋っているのは、トルコが輸入した武器を、細かく調べ自国で武器生産をしていく、という考えがあるからであろう。F35もパトリオットも、そうなれば、将来トルコがコピーを造り、輸出することになるのだ。

 トルコはアメリカに対して、武器の生産を認めろ、技術を提供しろと言っても来ていた。それはロシアに対しても同じだが、ロシアはトルコへの軍事技術の、移転に反対していない。ロシアはS400について、トルコで共同生産してもいい、とまで言っているのだ。

 アメリカの経済苦と対外債務の増大が、トランプ大統領をしてあせらせ、今回のような事態に、陥っているのかもしれない。しかも、アメリカがいま売っているF35も、イージスアショアも欠陥兵器だといわれている。それでも日本は何も言わずに、巨額の金を払って、買い続けていくのであろう。