『新天皇お見事』

2019年5月28日

 アメリカのトランプ大統領の来日は、公式訪問であり国賓だった。それを迎えたのは日本政府というよりも、天皇ご一家であったろうと思う。それ以外の予定には、これと思うようなものはなかった。巷ではトランプ大統領の気ままな観光旅行と、評するマスコミもあるほどだった。

 私が気をひかれたのは、新天皇は英語で直接トランプ大統領御夫婦と、言葉を交わされたということだった。新天皇はイギリス留学のご経験があり、皇后は元々外務省のスタッフ、お二人とも英語で困ることは、無かったろう。

 ただこの場合、控えていた外務省派遣の通訳は、立場がなかったろう。場合によっては、天皇トランプ大統領の間で、交わされたお言葉に、とんでもない重要なことが、含まれていたかもしれない。

 この晩餐会の後、トランプ大統領はイランに対する対応を、大幅に変更した。『イランの核問題は、今後も圧力をかけて解決するが、イランの体制を打倒する気は無い。』と語ったのだ。

 これはとんでもない進展であろう。何処の国もアメリカに圧力をかけられ、体制打倒を考えられたのでは、たまったものではなるまい。そうしたなかでは、体制の長たる大統領は、自分の命を守るための、選択をすることになる。イランのハメネイ最高顧問もしかりであろう。

 しかし、今回のトランプ大統領の一言で、イラン側は大幅に緊張を緩めたのではないか、と思われる。そうなればそこから対話の道が、開かれるかもしれない。既にイラク政府は、イランとアメリカとの仲介をする、と言っているし、安倍総理もしかりだ。安倍総理はイラン訪問を予定しているが、その折にはトランプ大統領の本音部分を、説明するであろう。

 もともと、日本はイランといい関係にあり、双方が相手を必要としている。安倍総理の穏やかな語り口に、イラン側も心を開くのではなかろうか。これはやはり天皇ご夫妻と、安倍総理の労によるところ大であろう。

 トランプ大統領の恫喝外交が、もし戦争にでもなれば、アメリカは世界から非難されることになろう。またその戦費は、膨大な額に上ろう。それはイランとて同じことだ。だからイランのロウハーニ大統領も、トランプ大統領も何度となく戦争を望まない、と言い続けてきたのであろう。

 いま必要なのは日本のソフト外交ではないのか。新天皇、そして安倍総理の勝利であり、次はイラン説得だ。世界経済恐慌を救うのは、日本の外交にかかっているのだ。