『ムバラク・ハメネイ・エルドアン・米は何を言っているのか』

2019年5月23日

 中東を代表する大立者たちはこの時期に、何を言っているのであろうか。誰もが気になるところであろう。彼らの最近の発言の中から、エッセンスの部分だけを、ご紹介しよう。

 

:ムバーラク元大統領

 トランプ大統領が唱える、世紀の大取引なる考えは間違いだ。それが実行されれば、地域は暴力と不安定が続くだけだ。世紀の大取引の内容は3つあり、第一はアメリカ大使館をエルサレムに移すことだ。第二はゴラン・ハイツを含むイスラエルを、国家として認めることだ。そし、第三はヨルダン川西岸での入植を拡大することだ。

 これらの三つの状況は、パレスチナ自治政府との交渉抜きに、進められるというのだから、無理なことであろう..

 以前2010年のことだが、ネタニヤフ首相は私に対し、シナイ北部をパレスチナ側に割譲してくれ、と頼んできた。彼はそこにパレスチナ国家を創る、という考えだった。もちろんそれは、私によって拒否されることとなった。ネタニヤフ首相の考えでは、ガザとヨルダン川西岸地区を分裂させることが目的だったのだ。

 それで私はそんな考えは忘れろと言ってやった。ネタニヤフ首相はニ国家案を望んでおらず、イスラエルだけの一国家にしたい、と考えているのだ。

 このムバーラク元大統領の発言は、今後の中東問題にとって、爆弾発言となろう。イスラエルの本音が顕わになっているからだ。

 

:エルドアン大統領アサド大統領と会談の可能性

 現在地下ではトルコとシリアの交渉が続いている。それはトルコとシリアとの、新たな関係を構築するために、トルコのエルドアン大統領と、シリアのアサド大統領の、直接対話の機会を設定する、というものだ。

 

 この工作にはシリア・トルコの情報機関が動いており、イランではハカン情報長官とシリア側が会議を開いたし、シリアのカッサブ国境地点でも開かれている。この動きについて、アサド大統領は『我々はトルコと協力するつもりがある。ただし、それは、シリアの主権を犯すものではなく、利益となるものであるならばだ。』と語っている。

 トルコとシリアとの関係は、2011年までは極めて良好なものであったが、その後、アサド大統領は独裁だということで、両国関係が悪化したのだ。トルコのエルドアン大統領側に、シリアとの関係を改善する必要が、高まってきているのであろう。それはシリアの戦後の、再建ビジネスであろう。

 

:ハメネイ師米イスラエルはやがて滅ぶ

 イランのハメネイ師が、イスラエルとアメリカについて、若者たちに語っている。その内容は、イスラエルもアメリカもやがて滅ぶ、というものだ。

 また、最近熱を帯びて語られている、イランとアメリカとの戦争勃発の、可能性については、全面的に否定した。ハメネイ師に言わせると、アメリカの考えていることは、中東地域への影響力の拡大だけだ、ということになる。

 アメリカがイランと合意した後、昨年反故にした核協定については、アメリカが文句を言ってきているが、理屈に合わないとし、ドイツ、ロシア、中国、フランス、イギリスが、イランの立場を擁護していると語った。