『何故トルコ・リラは下がらないのか』

2019年5月15日

 トルコの国際的な評判の悪化と、経済の悪化にもかかわらず、トルコ・リラはあまり下がっていない。不思議と言えば不思議なのだが、それにはどうやら裏があるようだ。

 

 政府は623日のイスタンブール選挙に向け、出来るだけ経済状態がいいように、工作しているようだ。

 

 それは前回のイスタンブール選挙で、敗れた原因が経済状態によるものだったからだ。今回、若しトルコ・リラが暴落するようなことになれば、選挙での与党AKPの敗北は、確実なものになろう。

 

 そこで、エルドアン大統領が進めているのが、中央銀行に指示を出し、ドルを市場に流し、トルコ・リラの価値を上げるというものだった。トルコ政府は中央銀行に指示し、66億ドルを市場に、放出することを決めた。

 

 予算の赤字は予測したよりも拡大しており、経済状態が相当悪いことがわかる。そのことが議会に正式に伝わった場合、大問題となろう。昨年にはトルコ・リラの暴落が起こり、大問題になっているのだ。

 

 中央銀行は外貨の準備が、どんどん減っている。公的備蓄は銀行の利益とは別勘定で、残されてはいるのだが。

 

 しかし、こんな細工をしても、実質経済は悪いのだから、どうにもなるまい。もちろん、エルドアン大統領が選挙対策としてだけ、考えるのであれば別だが。

 

 しかし、その後にはロシアに対す、S400ミサイル代金の支払いや、アメリカとの難しい交渉が待ち受けている。どうするエルドアン大統領!!