『トランプイランからラブコール求める』

2019年5月12日

 トランプ大統領はイランのロウハーニ大統領と、電話で話したいという希望を、持っている。そのためにスイスを中継として、トランプ大統領は彼の携帯電話の番号を、イラン側に伝えたということだ。

 その事はトラン大統領も公に語っており間違いない。イランに電話して欲しい、と言ったのだ。しかし、イラン側はこのトランプのアプローチを、歓迎していない。それは、トランプ大統領が軍事圧力をかけ続けているなかでの、申し出だからだ。

 ジョン・ボルトン治安担当アドバイザーは、アメリカ軍が艦船や攻撃用戦闘機などを湾岸地域に、派遣していることを明らかにし、それは明確なイランに対する、メッセージだと語っている。しかし、イランの革命防衛隊のジェネラル・ヤドッラー・ジャワニ将軍は、イランにはアメリカに応えるつもりはない、と語っている。

 アメリかはイランが周辺諸国に対し、攻撃的だと非難し続けてきている。まさに、イランは地域の脅威だ、と言いたいのであろう。それは事実ではないということは、多くの国々の知るところとなり、脅威を煽っているのはアメリカだという認識が広がっている。

 アメリかはイランにとって重要な大口石油輸入国8カ国に対して、イランの石油を買わないように命令している。中国、韓国、そして日本などがその対象国だ。アメリカはイラン石油の輸出を、ゼロにしたいと考えているのだ。

 こうしたアメリカの動きに対応し、イランはヨーロッパ諸国に対し、銀行・石油部門でしかるべき返事をするよう、60日間の期限を切って要求している。それはアメリカとヨーロッパの関係を、難しいものにしていよう。

 ヨーロッパがアメリカの要求に従えば石油不足になり、アメリカの高い石油を買わなければならなくなる、しイランの要求を呑めば、アメリカとの関係は最悪となろう。つまり、ヨーロッパ諸国には選択肢が無いということだ。

 しかし、現実はそうだろうか。アメリカの石油生産は世界一だといわれているが、それは期限があり、近い将来大幅に落ち込むと言われている。そして、アメリカは莫大な対外債務を抱えており、石油とドルが切り離されれば、アメリカ経済はどん底に落ちることになる。

 アメリカの強気の発言は、切羽詰まった脅しであろうが、もし戦争を始めれば、相当の痛手をアメリカが被ることになり、それはアメリカ経済の終焉を、早めるだけであろう。その事をトランプ大統領は知っているのだ。

 そのために、今回イラン側に電話を掛けてくれるように、要請したのであろう。トランプの手口は単純であり、最初に脅しを掛け裏から手を回し、話し合いを始めそれが成功だったと語り、再度脅しを掛けるというやり方だ。北朝鮮に対する対応はその典型であろう。アメリカの安っぽい芝居はもう通用しない、軍事的な脅威も脅威ではなくなった。