『トランプの世紀の中東和平案は身勝手』

2019年5月11日

 トランプ大統領が唱える、世紀の中東和平案なるものが、イスラエルによって明らかにされた。それは極めてイスラエル寄りであり、パレスチナには不利なものであり、身勝手というしかない代物だ。

 その内容はおよそ次のようなものだ。

:エルサレムは分割されずイスラエルの管轄下に置かれる。

:エルサレムのアラブ人はパレスチナの市民とされる。

:イスラエル政府はエルサレムの統治と土地を管理する。

:パレスチナ政府はエルサレムの電気水道料金を支払う。

:ユダヤ人はパレスチナ人の家を買えない。

:エジプトはパレスチナに工業用地、空港用地、農業用地などを与えるが、パレスチナ人はそこには住めない。(シナイ半島北部)

:合意後5年間に渡り、欧米とガルフ諸国は300億ドルの資金を、パレスチナに与える。

;このうち20%は米が、EUが10%、ガルフ諸国が70%を提供するものとする。

:パレスチナは軍を結成出来ない。

:パレスチナは軽火器を所有できる。

:ハマースは個人所有の武器を含め、全てをエジプト側に渡す。

:ハマースの幹部を含めた公務員は、外国から給与を受け取れる。

:ガザの国境は海域を含め、イスラエルとエジプトと開かれる。

:パレスチナの選挙への参加は、誰にも機会が与えられる。

:3年以内にパレスチナ人受刑者が、イスラエル刑務所から漸次釈放される。

:西岸ガザを繋ぐ高速道路は、中国が50%の費用を負担し建設する。残りは韓国、アメリカ、EU、カナダ、オーストラリアが各10%を負担する。

:ヨルダン渓谷はイスラエルの管理下に置かれる。

:エジプト、ヨルダン、サウジアラビア、UAEはこの計画が実施されるよう、パレスチナ自治政府に圧力をかける。

 もちろん、パレスチナ自治政府はこのトランプ案に、反対しているが、その反対の力は弱いだろう。それはパスチナ政府が湾岸諸国や、欧米の経済支援で成り立っているからだ。