トルコの経済は来年大躍進、という予測を、ヨーロッパの開発銀行が、出したようだ。それは昨年来の落ち込みが、リバウンドするというものであり、しっかりした根拠が、あるとは思えない。
それどころか、この手の予測は相手の国の経済を、潰すときに出されるのではないか、とさえ思いたくなる。ハイパー・インフレ、失業率の増大、物価高のなかで、どうやってトルコの経済が、回復することができるのだろうか。
それだけではない、トルコはいまアメリカとの間で、幾つもの難問を抱えており、アメリカは明日にでも、トルコを潰しにかかりたい雰囲気だ。そのことはトルコの外国からの、投資の金が流れ込んで来ない、ということであろう。
加えて、エルドアン大統領は先般の地方選挙の結果、イスタンブールで与党AKPが敗れたために、票計算をさせそれでも負けたので強権発動、選挙のやり直しを選挙委員会に強要し、その通りになった。
これは当然、欧米から嫌われる独裁政治であり、非難が高まっているが、それも経済にはマイナスであり、欧米がトルコの経済を救おう、などとは到底考えられまい。それでもトルコの経済が、2019年には回復基調に入り、2000年には順風満帆というのだから、笑わせるではないか。
与党AKPは野党を支持する金持ちからは、金を巻き上げろとも言い出している。そんな無茶が通るのが、いまのトルコなのだ。そうすることによって、野党側の選挙資金を断つ、ということであろうが、トルコ国民はいま、エルドア大統領の独裁に反発し、今度のやり直し選挙では、ほとんどがCHP支持に回りそうだ。クルドのDHPもCHP支持を明らかにしている。
アメリカはアメリカもこれ見よがしに、エルドアン大統領に対する嫌がらせを、始めたようだ。エルドアン大統領が打倒したい、クルドのYPGに対して、タンカーを持ち込んで盗掘石油を、買う動きに出たのだ。その前には大量の武器を、クルドのSDFに届けていることもあり、クルド側は軍資金も武器も、手に入れたということであろう。
いくらトルコ政府がアメリカにクレームをつけても、アメリカはクルドのSDFやYPGはIS(ISIL)打倒作戦で、貢献してくれたのだから当然だ、と言ってのけている。これは明らかな、アメリカの反トルコの動きであろう。従ってアメリカがトルコの経済苦を、救うことなどありえないということだ。
2019年から2020年にかけて、トルコの経済が急激に上向くという話は、まさに絵に描いた、餅のようなものであろう。