どうもトランプ大統領は、計算違いをしているのではないか、と思えてならない。トルコはアメリカにとっても、NATO全体にとっても、重要な国なのだが、トランプ大統領はあくまでも強者の立場から、トルコに対応している。それを見てEUはオロオロしているのだ。
その事が気の強いエルドアン大統領を、不愉快な気分にさせ、トルコをしてロシア側に押しやっているようだ。そうしたアメリカとトルコの不仲を、チャンスと見たロシアのプーチン大統領は、次々とエルドアン大統領の喜びそうな話を、持ちかけている。
ロシア製S400ミサイルを始めとして、各種の武器製造で協力しよう、と言い出しているのだ。S400ミサイルですら、トルコ国内で生産してもいい、と言い出している。つまり、ロシアは相当部分の武器のノウハウを、トルコに明け渡すということだ。
それはエルドアン大統領にとって、よだれが出るほど嬉しい話であろう。エルドアン大統領は軽工業品では金が稼げないので、武器生産と輸出を拡大しようと思っているが、それには高度な技術とノウハウが必要なのだ。だからこのポイントを突いて、プーチン大統領はトルコをアメリカから、引き離そうとしているのであろう。
エルドアン大統領は既に、アメリカとのF35購入の話は、半分駄目になった、と見なしているようだ。そこで今度は、ロシアが最新のSU57戦闘機を、トルコに売ってもいい、と言い出している。
エルドアン大統領はアメリカを、あせらせるためであろうか。F35の話が駄目になれば、F35そのものが駄目になると語り、相当部分をトルコ国内で生産していることを、明かしている。そして、トルコには自国を守る権利があり、誰にも邪魔させない、と言ってもいる。そしてS400ミサイルの話は既にまとまっている、と釘を刺してもいる。
さて、トルコが輸入するであろう、ロシアのSu57戦闘機とは、どんなものであろうか。ロシアはこの最新のSu57戦闘機ですら、S400ミサイルと同じように、トルコで生産していいとも、言い出しているのだ。
ロシアの代表はトルコの希望する武器産業を、支援するとも語っているのだ。しかも、S400ミサイルだけではなく、もっと進んだレベルのS500ミサイルでさえも、トルコを開発に引き込むつもりでいるようだ。
こうしたロシア側のトルコに対する急接近は、どうして起こっているのであろうか。実は急接近ではなく、トルコとロシアとの間では、幾つもの大プロジェクトが、進められてきていたのだ、石油を西側に輸出する、パイプラインの建設には、トルコの領土と協力があったし、ヘリコプターの生産でも協力している。またガスタービンの修理でも、ロシアとトルコは協力している。原発も然りだ。
こうしたロシアとトルコの接近を前に、アメリカは指をくわえて待つのか、あるいは恫喝で行くのか。多分恫喝であろうが、それは失敗しよう。