何かと悪いうわさが流れている、エルドアン大統領だが、そのひとつの結論が出たのは、3月31日の地方選挙結果だった。エルドアン大統領の与党AKPは、こともあろうに、トルコの6大都市選挙で、一か所を残して敗れたのだ。
なかでも、エルドアン大統領が地盤としてきた、トルコ最大の都市イスタンブールでの敗北は、彼にとってショックだったことであろう。元首ユルドルム氏が候者として、AKPからは擁立されたのだが、CHPの新人イマモール氏に敗れたのだ。
その後、どうエルドアン大統領がこの結果に、対応したかは繰り返さないが、結果的に6月23日に、イスタンブール選挙はやり直されることになった。その結果次第では、エルドアン大統領は完全な形で、勝利するかもしれないし、政治家としての命を、縮めることになるかもしれない。
国民、なかでもイスタンブール市民の、次回選挙への関心は高く、リゾートに向かう予定を組んでいた人たちの、90パーセントがキャンセルしたというのだ。彼らには真面目に投票に、参加する意思が、あるということを示したのだ。
さて、そのまじめな投票意思とは、与党AKPに有利になるものなのか、あるいは野党CHPに有利になるものか見ものだ。多くの野党はCHPを、支援すると宣言しているが、国民の側もその雰囲気に、影響されるのではないだろうか。
そうした流れのなかで、エルドアン大統領は前回の選挙で無効となった、170万票を生き返らせるつもりでいる、大規模集会は減らし、小規模集会を何度も開くことによって、有権者の支持を獲得するつもりでいるようだ。
野党CHPに対する、エルドアン大統領の非難の舌鋒は鋭く、『野党はテロリストによって動かされている。』とまで言い切っている。それだから与党に投票するべきだという論法なのだ。
しかし、前回の選挙で野党CHPに、AKPが敗れたのは、経済の悪化によるものだった。その経済は改善されていないし、欧米のトルコに対する立場にも改善はない。アメリカとの関係は最悪、と言えるのではないのか。
選挙の結果が出た後、エルドアン大統領の立場が、どう変わるのか見ものだ。もちろん、選挙結果が思わしくなければ、エルドアン大統領は投票数をごまかし、与党の候補者の勝利を、宣言するであろう。しかし、それはトルコの国際的な信用を、大幅に後退させることになろう。