ペルシャ湾の出口、アラブ首長国連邦のフジェイラの沖合で、4隻の船舶が何者かによって、攻撃された。現段階では誰が攻撃したのか、明らかになっていない。しかし、大方はイランによる犯行であろう、とみているようだ。
イランはいまアメリカと核問題などをめぐり、もめにもめているため、イラン側が我慢が出来なくなってやったものであろう、という推測なのだが。アメリカ側はイランを名指しでは、犯人扱いしていないが、4隻のうちの2隻がタンカーであり、そのうちの1隻はアメリカに石油を運んでいた、ということだ。
今回の攻撃の前には、多方面から近くペルシャ湾の出口付近で、船舶に対する攻撃があろう、そして、それはイランによって行われよう、という予測が出ていた。しかし、同時に、実はこの攻撃はアメリカによる偽旗作戦であり、実はイランが犯人ではなく、アメリカが仕掛けるものだ、ということだった。
犯行を口実に、イランに対する軍事攻撃をかけるだろう、というのがその予測だった。そして、現実に犯行が起こり、被害を受けたサウジアラビアのタンカーは、アメリカに石油を運んでいた。これは重大なアメリカに対する攻撃であり、経済的ダメージを被らせるものだ、という筋書きが出来てくる。
攻撃を受けた船の写真は、タンカーのものであろうが、まさに軽微であり、積み荷の石油に引火することなどなかった。言ってみれば精密な計算がなされて、攻撃は行われたのではないか、ということだ。
今後このタンカーなどへの攻撃は、国際的に大問題に仕立て上げられていき、犯人はイランだ、という断定がなされよう。そして、その次に起こるのは『イラン撃つべし。』ということではないのか。
イランとアメリカが戦争を始めるだろう、と何度も言われてきたが、どうやら、トランプ大統領はそれを望んでいない、という分析があちこちから出ていた。そこで好戦派のボルトン顧問やポンペオ国務長官らが、何とか戦争に持ち込もう、そのためには偽旗作戦をやろう、ということのようだ。
偽旗作戦はいままで、アメリカ政府によって何度も、繰り返されてきている。イラクのサダム・フセイン大統領の核製造疑惑、リビアのカダフィ大佐の独裁と各種兵器開発、シリア政府の化学兵器攻撃など、枚挙にいとまがない。
もし、ペルシャ湾で戦争が始まれば、石油価格は暴騰し、1バーレル100ドルのレベルでは無くなろう。それは世界経済を破壊することにも、なりかねない。そんな危険なゲームをやる権利が、どうしてアメリカにあるのだろうか。
戦争に至らなくとも、今回の事件が長期化し、犯人探しが続けば、そのことだけでも世界経済に与える影響は大きいだろう。既に、サウジ・タンカーが攻撃を受けた、ということだけで、石油価格は上がっている。
日本はそれでもアメリカに石油を売ってもらい、問題ないと言いたいのであろうか。日本の石油備蓄量は、どの程度あるのであろうか。ロシアからの石油ガス輸入は、進まないのであろうか。中国は既にロシアから石油ガスは輸入するし、イランからはアメリカの意向を無視して、大量に買い付けているのだが。