『露は中東和平を推進できるか』

2019年4月26日

 中東地域諸国でもロシアの評価は、日に日に高まっている。アメリカがこれに対し、評価を下げ、どの国も面従腹背という感じだ。もうトランプの大言壮語は中東諸国では、意味をなさなくなっているのかもしれない。

 そうしたなかでは、イスラエルやパレスチナ自治政府(PA)も同じであり、トランプの 『世紀の大取引=中東和平計画』なるものは物笑いの種になっている。誰もそのトランプ案には、中身が無いことを知っているのだ。

 トランプが考えそうなことと言えば、サウジアラビアに圧力をかけて、PA(パレスチナ自治政府)に資金を出させ、彼の和平案を強引に押し付けるだけ、ということはPA側も十分わかっているからだ。しかし、エルサレムをイスラエルの唯一の首都と認めたり、他の国々に圧力をかけて、大使館をエルサレムに移転させるなど、アメリカには力以外に、知恵などないのだ。

 他方、プーチンが考えていることには、実質的な効果がある、と受け止められているようだ。PAの『我々は条件無しイスラエルと、話し合う用意が出来ている。それがプーチン大統領からの招待であれば、喜んで出席する。」と語っている。

 ネタフタヤフ首相側も同様に、プーチン大統領からの提案であれば、ノーと言うつもりはない。ネタニヤフ首相は中東和平を望んでいるのだ。従って話は前進が期待出来る、ということだ。

 PAはもちろん、今の状態ではアメリカには、何の期待も出来ず、プーチンが出てきてくれるなら、もろ手を挙げて大歓迎であろう。プーチンの提案を断るだけの余裕はPA側には無いのだ。

 ネタニヤフ首相の側はと言えば、シリアとの関係でロシアの助力が、必要なのだ。シリアはイスラエル軍の攻撃で、S300を使用しなかったことは、イスラエル空軍にとって、大きな助けとなった。

 それは言うまでもなく、ロシアのシリアに対する、助言の成果だった。従って、ネタニヤフ首相はシリアとの緊張緩和には、ロシアの支援が必要だと考えているのだ。それ以外にも、イスラエルはロシアと相談したいことが、沢山あるだろうがその中には、アメリカのトランプ大統領との関係も、含まれていよう。

 ネタニヤフ首相と言えば、何やら強硬派というイメージがあるが、彼は一国の首相であり、国民の利益を考えないわけにはいかない。その国民の利益を支えてくれそうなのは、トランプ大統領ではなく、プーチン大統領ということだ。