『トルコ民主化に向かい始めたのか』

2019年4月14日

  トルコの地方選挙の後、ここに来てやっと何らかの変化が、生まれ始めているのではないか、と思われる動きが見られる。それは、一つは選挙管理委員会の立場に、変化があったことだ。

 そして、もう一つは元大統領のギュル氏が、発言を始めたことだ。彼は今回の選挙に対する、与党AKPの対応に問題あり、と言ったのだ。過去70年の間、選挙後にその選挙結果を、覆すようなことはなかったと語り、それが今回は簡単に実行されてしまった、というのだ。

 まず、選挙管理委員会はマルデンの地方首長選挙で、アハメト・トルコ氏が当選したにもかかわらず、与党AKPはアハメト・トルコ氏は高齢であり、健康上問題があることから、当選を認め首長を勤めさせることは、出来ないとしたのだ。

 しかし、選挙管理委員会はこれを否定し、アハメト・トルコ氏の当選を認める方針だ。それは与党AKPに選挙管理委員会が、真っ向から反対の立場を、取ることになる。運が悪ければ、選挙管理委員会の幹部は、逮捕され投獄されるかもしれないのだ。

 この選挙管理委員会の立場は、場合によってはイスタンブールの選挙結果にも、影響を与えるかもしれない、イスタンブールの市長選挙では、野党CHPの候補者イマモール氏が当選したのだが、与党AKPはこれを否定し、選挙管理委員会に当選したことを、認めさせなかった。

 その後、与党AKPはイスタンブールの市長選挙を、やり直す方針で着々と、その準備を進めている。ただ、イマモール氏の当選は与党AKPの候補、ユルドルム氏と僅差であったことから、次の選挙ではどちらが敗北するか分からない。与党AKPはあらゆる手段を講じることであろう。

 それでも、ユルドルム氏が敗北した場合、与党AKPはどうするつもりなのであろうか。再選挙が行われれば国際的に、大変な関心を呼び、選挙での不正は、やり難いものと思われる。いずれにしろ、選挙管理委員会は今回の選挙結果を受けて、立場を少し変えたということだ。

 ギュル氏は選挙への与党AKPの、強硬な介入を批判すると同時に、彼自身が次の大統領選挙に立候補する可能性をほのめかしているし、彼は元首相のアハメト・ダウト-ル氏の構想している、新党結成にも加わるつもりでいるようだ。

 そうなれば、トルコの国内政治は新たな段階に、入るということであろう。それをエルドアン大統領は、力で潰そうとするのか、国民の彼に対する支持が、下がっていることは、今回の選挙で歴然としている。経済の後退がエルドアン大統領への支持を下げているのだ。