『スーダンバシールは打倒できたが難問山積』

2019年4月13日

 スーダンのバシール大統領は、国民のデモと、軍の行動で打倒された。スーダン軍はバシール大統領を、その地位から追い出し、軟禁状態に置いている。軍は彼を自宅で軟禁しており、何の危険も及ぶことはない、と説明している。

同時に軍は、バシールが国外に逃亡しないように、空港を閉鎖すると同時に、、陸路国境を、閉鎖してもいる。これで万歳といいたいところだが、そうでもないようだ。国防大臣が今回の、最後のバシール追い込みで、権限を持っていたわけだが、彼は最もバシールに近い人物であった。このため、今回のクーデターは宮廷内クーデター、といわれているのだ。

このアワド・アオウフ国防大臣は、国際警察からも追われている、犯罪者でもあるのだ。彼が今後2ヶ月間スーダン国内の統治を担い、その後に選挙を実施する、と言っているが、何処まで公正な選挙をするのかは、分からない。

反政府派のスーダン教授連合の代表は『クーデターは宮廷内クーデターであり、バシールを追放しても、コインの裏側が出てくるだけで、何も変わらない。』と語っている。その可能性は極めて高かろう。

バシール体制はイスラミストによって成立していたが、そのイスラミストたちは健在であり、何時の時点で表面に、顔を出ししてくるか分からない。また、アワド・アオウフ国防大臣はバシールが、最も信頼を寄せる人物であり、副大統領でもあった人物だ。

従って、今後国民の革命熱が収まった時点で、バシールの復帰もありえようし、それがなければアワド・アオウフが大統領になる可能性は、極めて高いのではないか。スーダンなどのような国では、国家の権力者がどれだけ私財を溜め込むかは、言わずもがなだ。膨大な金がバシールの懐には入っていようし、アワド・アオウフもそれを知っており、同じ道を歩むだろう。

もし、そうした問題が発生しなくても、スーダンでは今後、西スーダンにいる部族の蜂起や、イスラミスト・ミリシアの、押さえ込み問題などが、出てこよう。エジプトのアルアハラーム紙が指摘しているように、『スーダンの問題はいま始まったばかり。』なのかもしれない。