『エルドアン大統領イスタンブール投票やり直し工作』

2019年4月10日

 エルドアン大統領にとって、イスタンブールの投票結果は、メンツ丸潰れであったろう。現役の首相をイスタンブールの市長に立候補させ、必ず勝たせると言っていたのであろう。しかし、結果は僅差でユルドルム候補が落選し、CHPの候補者イマモール候補が、当選するということとなった。

 しかも、ご丁寧にも首都アンカラの選挙でも、与党AKPは敗北し、CHPの候補者が当選することとなった。加えて、第三の都市イズミールでも、与党AKPは敗北することとなった。結果的に、トルコ6大都市で与党AKP候補が当選したのは、一か所だけにとどまった。

 そこで当然のこととして、与党AKPというかエルドアン大統領は、強引に選挙結果を、変更をするであろうと思われていた。普通なら投票数をごまかして、与党AKP候補を当選させるのだが、今回は外国の監視がきつかったのであろう。

 そこで、エルドアン大統領が考えたのは、投票に問題ありとして、再投票することだった。しかし、選挙委員会はイマモールの当選を正当と認め、再選挙を否定している。するとエルドアン大統領は、候補者の犯罪歴を洗い始めた。もし何かが出てくれば、立候補資格はなかった、ということで引きずりおろす、戦法であろう。

 加えて、エルドアン大統領は警察に命令し、野党支持者と思われる家を、個別に訪問させ、圧力をかけている。多分、イスタンブールでの再投票は、実施されるであろうが、その前の段階で市民がどう判断するか、ということだ。

 最近の調査によれば、65パーセントのイスタンブール市民は、再投票の必要は無い、と言っている。それでも再投票をするとなれば、どれだけの選挙参加が見込まれるのか。それ以前に、市民は抗議行動を起こさないのか。その抗議行動はどこまで大きくなりうるのか、と幾つもの疑問が湧いてくる。

 こうしたことから、ヨーロッパ諸国は選挙は正当であり、問題はなかったと言っている。そうであれば、もしエルドアン大統領がどうしても,再投票するとなれば、寄ってたかってエルドアン大統領を、非難することになろう。

 エルドアン大統領のアメリカでの評判は、すこぶる悪い。そして、ヨーロッパでも彼に対する評価は悪い。エルドアン大統領は少しでも、ヨーロッパでの評判を、挽回したいところであろう。

 場合によっては,エルドアン大統領の工作している再投票は、成功しないかもしれない。ヨーロッパア諸国などはエルドアン大統領の、選挙での敗北を、はやし立てて喜んでいる。

 ヨーロッパ諸国はエルドアン大統領の運気が下がり、彼の終わりの時が近づいている、と判断しているのかもしれない。そう願うトルコ国民も少なくなかろう。経済の後退、インフレ、失業、物価高、と国民には不愉快な状況が進んでいる。