『スーダン大統領の終焉近い』

2019年4月 9日

 スーダンのバシール大統領の、終わりの時が近づいている、というニューが、流れ始めている。もう数か月にも渡って続く、国民のデモがその成果を、手にする時が来た、ということであろうか。

 デモの規模はスーダンの首都ハルツームでは、10万人を超えているということだ。彼らは一般市民から公務員まで様々で、毛布を持ち込み、徹夜でその場を離れない人たちも多い、と報道されていた。

 問題はスーダン軍の動きだ。治安部隊がデモ隊に催涙弾を撃ち込んだりしていたが、軍がそれを阻止する側に、回ったというのだ。つまり、スーダン軍は国民の側に回り、バシール大統領の長期政権に嫌気がさし、終わらせようという、目算なのであろうと思われる。

こうなると独裁者も弱い、大統領が安心して、その地位に留まれるのは、軍が守ってくれるからだ。その軍のガードが無くなれば、ほとんどの大統領は、年老いた男に過ぎまい。

 スーダンはアフリカ北部にある、広大な面積を持つ国だが、あまりその国については、日本では知られていない。実はスーダンにはエジプトにも勝る、ピラミッド群があり、観光資源は豊富なのだ。加えて、意外にもゴマの産地としても、知られている。かつて、ウサーマ・ビン・ラーデンはこのゴマの生産を行い、テロ活動の資金を得ていた、と伝えられていた。

 また、スーダンは産金国でもあるのだ。それもあまり知られていないが、以前飛行機で隣合わせに座った男は、金貨のセールスマンだった。彼に金は何処で採れるのかと問うと、ニコニコしながら『スーダンで採れる。』と言ったのを覚えている。 

 その後、紅海に面したスーダンとエジプトの国境地帯には、ハラーイブという名の産金場所があることを知った。そこはムスリム同胞団のモルシーが、大統領になった時に、スーダン側に譲ったと言われており、未だにエジプトとスーダンは、ハラーイブの領有権を争っているようだ。 

 加えて、南スーダンには石油が埋蔵されており、イギリスなどの傀儡組織が、南部スーダン分離独立闘争を続けている。それもほぼ固定化してきているようだ。そうなると、南スーダンの石油はインド洋サイドから、国際市場に流れ出す、ということだ。

 つまり、スーダンは日本人が認識しているような、何も無い砂漠と暑さだけの国ではないだ。計画さえしっかりしていれば、十分に産業開発が可能なのだ。しかもスーダンのインテリたちは、相当レベルが高い、優秀な人たちが多い。

 そうした恵まれた状態の中で、バシール大統領はスーダンの富を、独占してきたということであろう。だいぶ前の話になるが、いまはどうなっているか知らないが、ハルツーム空港は鳥小屋のような貧しいものだった。

 バシール大統領の政敵は確かマハデイ(?)で、ソルボンヌ大学で学んだインテリであり、彼は国内にいまでも、多数の支持者を抱えていということのようだ。彼とはイラクのキルクークで開催された、国際会議で会ったことがあるが、1メートル90センチ以上と思われる、大男だったと記憶する。

 今回の政変劇の結果、バシ-ル大統領が打倒されれば、彼は有力な大統領候補として、浮上してくることであろう。もちろん軍のトップも、有力な後継者となりうる、可能性が高いだろう。