『リビアはどうなるのかハフタル軍トリポリへ』

2019年4月 5日

   リビアはいま危険な大局面に、向かって進んでいるようだ。東リビア政府のハフタル将軍が率いる軍が、西のリビア政府が統治する、トリポリに向かって進軍しているのだ。それがやがて、トリポリに到着すれば、無血でトリポリを西の政府セラジ首相は、明け渡すのか、あるいは抵抗戦を始めるのか、まだ分らない。

 ただ言えることは、現段階ではミスラタのミリシア・グループが、トリポリをハフタル軍から守る、と戦闘態勢に入っていることだ。このミスラタのミリシア・グループは、カダフィ大佐を最終的に殺害した、勇猛なグループとして、知られている。

 この危機的状況にあって、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、そしてアラブ首長国連邦は、武力衝突は回避すべきだ、と主張している。当然であろう。大量殺戮が目前に迫っているのだから。

 この危機的状況の前には、今月末にハフタル将軍とセラジ首相の会談が、予定されていた。もちろん、戦闘状態を終わらせることが目的だった。しかし、現段階ではトリポリの南100キロにある、ガリヤーンで戦闘が起こり、ハフタル軍側が抑えたようだ。

 興味深いのは、ガリヤーンの地方政府幹部が、ハフタル将軍を非難するのではなく、話し合いで治めたい、と言っていることだ。つまり、どちらにも与したくない、ということであろう。それは、当然と言えば当然のことかもしれない。ガリヤーン地方事務所には、ハフタル将軍の軍と、衝突する能力は無いのだから

 ハフタル将軍側はリビアの南部を、ほぼ抑えているようだが、それは、石油産出地帯を勢力下に置いている、ということだ。リビアでは笑い話のようだが、1リットルのガソリンの価格は、10セント(11円)と水よりも安いのだ。

 それだけに、エジプトは何とかリビアを取り込みたい、と望んでいよう。実際に、エジプト政府はハフタル将軍側を、支援しているし、アラブ首長国連邦もしかりだ。問題は今回のハフタル将軍のトリポリ攻略計画が、誰の助言によるものかということだ。

 考えられるのは、エジプト政府ということだが、エジプト政府とアメリカ政府の関係はすこぶる良好だ。つまりアメリカがそろそろリビアの内乱を、終わらせようと考えているのかもしれない。

 もともと、トリポリに陣取るセラジ首相は、国連や欧米が作り上げ、チュニジアからリビアに送り込んだ、傀儡政権なのだ。用事が済めば何時でも、捨てられる存在でしかない。他方、ハフタル将軍側は確固たる、地域の支持を得ており、革命当初から頑張っているのだ。

 ハフタル将軍に分があるか、セラジ首相に分があるか、と言えば、多分、ハフタル将軍に軍配が、上がるのではないか。