『アメリカは本気でトルコ攻略に入っている』

2019年4月 4日

 

どうも最近のニュースを追っていると、アメリカはトルコに対して、本気で怒っているようだ。アメリカとトルコとの間のトラブルは、もうだいぶ長い間続いている。例えば、数年前の出来事だが、ワシントンを訪問していたエルドアン大統領の警備員が、アメリカ側の警察を殴打し、負傷させたということがあった。

 シリアのマンビジュについても、アメリカとトルコは長い間、主張を譲らずに対立してきていた。トルコ側はアメリカ軍はマンビジュから出て行けと要求し、、次いで、クルドのSDFを追放しろと言い、アメリカ側はSDFは対IS(ISIL)の作戦で、最も貢献していると言って譲らなかった。

 トルコが言い出した、シリアとトルコとの安全地帯の構築についても、アメリカ側はシリアとトルコが話しあって決めるべきだ、というのに対して、トルコ側はトルコだけで構築する、と主張して譲らない。

 そして最も大きな問題と思われるのは、トルコのロシアからのS400輸入問題だ。アメリカはロシア製のS400ミサイルではなく、アメリカ製のパトリオット・ミサイルを買えというのだが、トルコは譲らない。そして遂に腹を立てたアメリカ側は、トルコが輸入を希望しているF35の輸出を、許可していない。そればかりか、既に渡してある試験用のF35、ニ機については部品を送らない、と言っているのだ。

 このパトリオット・ミサイルとF35(100機)の取引は、巨額に上ろうことから、アメリカは何としてもまとめたいようだ。再三に渡り、アメリカのペンス副大統領やポンペオ国務長官が『やがてトルコはパトリオットを買うことになる。』と言っている。しかし、これに対しトルコ側は『ロシアとのS400取引は、既に合意済みだ。』と撥ね退けている。

 そこで出て来たのが、ペンス副大臣の『トルコをNATOから追い出す。』という発言だ。いまのNATOは極めて不安定な状況にある、イギリスのEU脱退も絡み、NATOは崩壊が懸念されているのだ。それに対し、ドイツとフランスはNATOを解体して、ヨーロッパ軍を創設することを、言い出している。

 最後につい最近、アメリカはシリアのクルドSDFに対し、100台に積んだ武器と軍事物資を送り届けている。これはトルコにとっては、看過できない問題だ。SDFつまりクルドに渡った、武器の銃口が向けられるのは、トルコだからだ。

 アメリカはトルコとクルドとの間で、戦争が始まるように仕向けているのではないのか。そう疑いたくなる状況ではないか。私以上にトルコのエルドアン大統領は、それを強く懸念していよう。当然、トルコとSDFとの戦闘が始まれば、アメリカ軍が背後からSDFを支援し、アメリカの傭兵は直接戦闘に、参加することになろう。

 しかも、トルコとクルドとの間で戦争が始まれば、トルコの経済が受けるダメージは大きく、経済が破綻することもあり得よう。国内は戦闘で荒廃もしよう。もちろん、軍人市民にかかわりなく、多数の犠牲者も出よう。

 331日に行われたトルコの地方選挙の後、アメリカ政府はエルドアン大統領の選挙後の対応にクレームをつけている。それに対し、ユルドルム元首相『余計な口出しをするな。』と警告している。

この先、アメリカはトルコ国内が戦場になるように、仕向けるのであろうか。エルドアン大統領を失脚させるつもりなのであろうか、トルコを分割することを考えているのであろうか。多くのクエスチヨン・マークが並ぶ。