『明日はトルコの地方選挙投票日』

2019年3月30日

 3月31日はトルコの、地方選挙投票日だ。その投票日に向け与野党は、熾烈な選挙戦を戦ってきたということだ、なかでもエルドアン大統領は、彼の面子と将来にかけて、相当なことをしたようだ。

 既に報告したとおり、国家のあらゆる機関を使って、与党AKP有利のための工作を、してきていた。国営放送TRTのほとんどの選挙情報は、与党AKPを支持する内容であり、野党に振り当てられた時間は、15パーセントだけだった、と伝えられている。

 与党を支持する者の発言は、大きく取り上げられ、与党支持の右翼の頭目なども、英雄のようにエルドアン大統領が、賞賛する始末だ。マフィアのボスですら担ぎ出されたのだから、常識を疑うしかあるまい。

 アメリカとの関係がいいことが売りだった、エルドアン大統領だが、今ではアメリカは完全に、エルドアン大統領と敵対している。エルドアン大統領が輸入したい、アメリカのF35戦闘機については、アメリカ下院議員の間から、トルコには売るなという声が、上がっている。

 エルドアン大統領がどうしても手に入れたい、ロシアのS400ミサイルについては、アメリカ政府の高官が、S400の購入は止めて、アメリカ製のパトリオットを買え、と圧力を掛けている。誰が考えても、トルコとアメリカとの関係が、悪くなっていると感じるであろう。

 選挙を間近に控えた段階では、トルコ・リラの下落が起こっている。これについて、エルドアン大統領はアメリカによる陰謀だ、と噛み付いた。しかし、それは間違いであり、彼が進めたトルコ・リラ価格操作、外資呼び込みのための高金利対策などの、失敗が原因であろう。

 そして、ニュージーランドのテロ事件も、エルドアン大統領は何度となく、選挙運動で利用している。選挙集会に集まった人達に、惨状のビデオを見せ、イスラムの敵だと主張しているのだ。

加えて、最近ではイスタンブールにある、ハギア・ソフィア教会をイスラムの礼拝所モスクにする、と言い出している。このハギア・ソフィア教会は、東ローマ帝国が建設したものであり、勝利したオスマン帝国も、モスクとして活用することに、躊躇していたようだ。

 こうなると、何でもありなのであろう。そして地方選挙の最大の焦点、アンカラとイスタンブールの市長選挙で、エルドアン大統領は勝利しようと、相当力を入れているようだ。彼の面子がかかっているのだから、無理もなかろう。

選挙予想会社には与党AKP絶対有利、という報道をさせているのだ。しかし、国民はそんなことより、失業問題対策や物価高対策の方が、最大の関心事であろう。選挙結果は4月1日、つまりエイプリルフールの日には分かろう。アハハと笑うしか無い。