『トルコの選挙勝利に汚い手幾つも』

2019年3月28日

 もうすぐトルコでは、地方首長選挙が実施されることに、なっている。選挙投票日は331日であり、すぐそこまで迫っているのだ。その選挙での投票結果は、大統領の権限には影響しないのだが、与党AKPのイメージには大きく影響し、その先には大統領の権威が、失墜することにも繋がろう。

 従って、エルドアン大統領はこの選挙で、あらゆる作戦を採っているようだ。投票予測を出す会社(幽霊会社)が設立され、そこは述べるまでもなく、与党AKPが大躍進している、と報じているようだ。

 その選挙予測会社の予測を、一部マスコミは引用しているのだから、それなりに効果が、あるかもしれない。新聞はともかくも、テレビで与党AKP有利を、何度も繰り替えされれば、大方の国民はエルドアン大統領側、つまり、与党AKPに流れることに、なるのではないか。

 また、与党AKPの議員は立候補者でPKKと関係ある者、テロと関係ある者は、当選しても失脚することになる、と語っている。これでは誰でも落選にできる、ということではないのか。なかでも首都のアンカラや、トルコ最大の都市イスタンブールの市長選挙で、与党AKPは敗北するわけにはいくまい。

 エルドアン大統領は何とか、彼の党を有利にするためにと、ニュージーランドで起こったムスリム大量虐殺テロ事件の、テープを選挙運動先に持ち込み、何度もそれを選挙集会で公表している。つまり、彼は「私こそがこのムスリムたちを、危険から救うのだ。』と訴えているのであろう。

 また、シリアのゴラン高原の帰属をめぐっても、エルドアン大統領は声高に、アメリカのトランプ大統領非難を、繰り替えしている。『我こそがイスラム世界のリーダーだ。』と言いたいのであろう。

 しかし、その行動はトルコ国内では、あまり評判がよくないようだ。ニュージーランドのテロ事件は、欧米諸国にとってはまさに汚点であり、早く忘れ去りたい、ということであろう。

 今回の選挙では、エルドアン大統領に批判的な、ヨーロッパ各国のジャーナリストが多勢取材に入るし、EUの選挙監視委員会も、押し掛けることになっている。その結果、あちこちで与党AKPの選挙違反行為が、指摘されるのではないだろうか。

 そうしたヨーロッパやアメリカの、ジャーナリストたちに対して、エルドアン大統領や与党AKPが、どう対応するのか見ものだ。選挙が近づくにつれて、トルコ・リラが値上がりしたりしているが、これは、政府のリラ値上げ作戦の結果であり、長期的なものではあるまい。選挙が終わった途端に、トルコ・リラの暴落が起こるのではないのか。

 今ではエルドアン人気は、大分国内的にはへこんでいるし,アメリカもヨーロッパ諸国も、エルドアン嫌いが目立って、強くなってきているのだ。結果はすぐ出よう。それまで深入りのコメントは控えよう。