『リビアに新たな動きカダフィ派の釈放要求』

2019年3月24日

 リビアのカダフィ大佐が殺害されて、既に8年以上の時が、過ぎようとしている。このカダフィ大佐の死は、彼の取り巻き連中を、国外に逃亡させるという事態を起こしていた。カダフィ大佐の子息サイフルイスラームや、彼の情報トップだった義兄弟の、アブドッラー・サヌーシーもその一人だ。

 以来、カダフィ大佐の幹部8人に逮捕状が出され、逮捕された後、投獄されている。そのうちの一人、アブドッラー・サヌーシーの釈放を、要求するデモが、最近トリポリで起こった。その理由は幾つかある。彼の健康上の問題であり、もう一つの理由は、彼と同じ時期に逮捕されていた、外国情報担当トップだった、アブゼイド・ドルダが釈放されたことだ。

 アブドッラー・サヌーシーの親族や、部族のメンバーがそれで、釈放デモを始めたということだ。その代表者であるマゲルハは、アブドッラー・サヌーシーの釈放を訴えるのは『受刑者の自由』であり、『リビアの再建』ということだ。そうしたことで、アブドッラー・サヌーシーを釈放しろというデモが、トリポリで起こっているということだ。

 アブドッラー・サヌーシーは革命勃発後、カダフィ大佐の次男サイフルイスラームと同様に、モーリタニアに逃れていたが、2012年にモーリタニア政府によって、リビア側に引き渡されていた。カダフィ時代の最後の首相バグダーデイ・マハムーデイも然りだ。

 カダフィの子息サイフルイスラームは、リビア南西部のジンタンに送られ、そこで長い間軟禁状態に置かれていたが、昨年だったか一昨年だったかに、自由の身になったのだが、リビア東部に逃れた後は、彼の所在は明らかになっていない。多分、彼の支持者は今でもリビア国内に、相当数いるのであろう。

 カダフィ体制の残党、カダフィ体制の最高幹部たちの釈放要求デモは、何故いま起こっているのか、関心が持たれる。最初に思うのは、彼らのデモがリビア政府によって,何の制約も受けない、取り締まられない、自由があるということだ。

 それは外国のトリポリ政府、つまり、セラジ政府に対する働きかけが、あったためなのか、あるいはセラジ首相とハフタル将軍との、権力争いの結果なのかは分からない。いずれにしろ、サイフルイスラームにしろ、アブドッラー・サヌーシーにしろ、カダフィ・ファミリーのメンバーである事を考えると、今後のリビア内政には、少なからぬ影響を及ぼすのではないのか。