『トランプがゴランをイニスラエルにプレゼント?』

2019年3月22日

 

もう50年も前の話になるが、アラブ・イスラエル間の戦争、第三次中東戦争が1967年に起こっている。この戦争は決定的な敗北を、アラブ側にもたらし、その戦争の結果が、その後のアラブ・イスラエル関係に、大きく影響を及ぼしている。

 この戦争の結果シナイ半島は奪われ、1970年代にエジプトとイスラエルとの、和平協定が結ばれるまで、シナイ半島はイスラエルの、占領地となっていた。加えて、シリアのゴラン高原も、イスラエル軍によって占領され、以来、今日まで占領されたままとなっている。

 そのゴラン高原について,イスラエル側は領有を主張し続けているが、何の根拠があるというのであろうか。一つはゴラン高原がイスラエルの水源の,重要な一つであることから,イスラエルとしては何としても手放したくない、ということのようだ。

 加えて、ゴラン高原からはシリアが一望できるため、その逆の状態は認められない、ということであろう。つまり、ゴラン高原をシリアに返還し、シリア側がイスラエル領土を、一望にできる状態には、したくないということだ。

 イスラエルが何度繰り返して、ゴラン高原の領有を主張しようとも、シリアは当然だが、アラブ諸国も認めない。そこでイスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ大統領に領有権を、認めるよう依頼していた。

 その結果がつい最近出て、トランプ大統領はイスラエルにゴラン高原の、領有を認めることとなった。だが、トランプは何の権利があって、他国の領土をイスラエルのものだ、と言えるのであろうか。

 このばかげたトランプ大統領の決定を、どこの国が認めるのであろうか。多分ヨーロッパ諸国は態度を保留するか、反対するであろう。日本は一にも二にも無く、賛成するのではないか?その場合、日本はそのばかげたトランプの決定に、どう正当性を付けるのであろうか。

 戦争によって占領された場所が、簡単に占領国のものになるのであれば、北方領土は帰って来るまい。ロシアは戦争によって勝ち取った領土であり、そのためにロシア兵は犠牲になっている、と主張しているのだ。

 他国の問題も自国の問題のように、真剣に考えるべきであろう。どんなに優秀な日本の官僚たちが、屁理屈をこねくり回したとしても、ゴラン高原がイスラエルの固有の領土には、なるまい。