『ニュージーランドモスク攻撃は報復を世界中で生むか』

2019年3月16日

 

ニュージーランドのクライスト・チャーチで、315日に起きた、モスク襲撃事件は50人ほどの死者を出す、大事件となった〈49人死亡48人負傷)。4人の若者が機関銃を持ってモスクには入り、銃撃したのだから犠牲が出たのは、当然の結果であったろう。(事件後1人は殺人罪の有罪で起訴、1人は無罪で釈放されている)

 この事件は大きなショックを、世界中のイスラム教徒たちに、与えたものと思われる。それは単なる、ニュージーランドだけの問題ではない。アメリカでもヨーロッパでも、イスラム教徒たちは怒り心頭であろう。

 世界中のイスラム教徒が、先進国であるヨーロッパ諸国やアメリカに入り、そこでよりよい生活を送りたいと考えているが、彼らに対する宗教的理由の嫌悪感情は、常にキリスト教徒住民との間に生まれ、小さな衝突を生み出しているのだ。

 このため、ヨーロッパやアメリカでは、イスラム教徒たちによる抗議のデモや、暴力事件が起こってきたが、今回の事件はまさにいうところの、イスラムホビアであろう。イスラム教徒に対する嫌悪の感情が、爆発したということだ。

 この事件を痛ましいと思う反面、キリスト教徒たちの相当数が、ザマーミロと思っているのではないか、そうだとすれば極めて残念な、出来事だったということだ。(ドイツのナチによるユダヤ人に対する、ホロコースト事件へのヨーロッパ人の反応)

 世界のイスラム教徒のリーダーを自認する、トルコのエルドアン大統領は、早速、この事件はイスラムホビアだとして、世界のイスラム教徒に対し、対応すべきだと叫んだ。その感情は他のイスラム諸国の、リーダーたちも抱いていよう。

 つまり、今回のニュージーランドのクライスト・チャーチで起こった事件は、世界中のイスラム教徒に対して、暴力でキリスト教徒と衝突することへの、免罪符を与えたようなものではないのか。

 ヨーロッパやアメリカでは、銃の規制が緩いために、一般人が拳銃だけではなく、機関銃なども入手しやすい、状態になっているが、今後、こうした銃器が、大量殺人事件を起こす、原因になろう。

 アメリカでは銃による殺人が、キリスト教徒の間でも起こっているが、宗教的な違いを理由にし始めると、そこに殺人の正当性が、生まれてくる危険があろう。各国のリーダーたちはこの事件を、イスラムホビアにはするべきでなかろう。

 あくまでも、異常な若者たちの起こした事件、とすべきではないのか。しかし、他方では宗教間対話を、図ることも必要であろう。根本的な問題の解決は出来なくとも、このことによって、ある程度の効果は、解消できるのではないか。

  宗教的マイノリテイのユダヤ教徒たちは、今回の事件は『明日はわが身』と重く受け止め、警戒を強めている。