『ブーテフリカ最後の希望は夢か現実か』

2019年3月12日

20年間アルジェリアの大統領についていた、ブーテフリカはいま最後の時を、迎えようとしている。彼は帰国したという情報と、まだ帰国していない、という情報とに揺れているが、彼の健康状態が、極めて良くないことは事実だ。

 ブーテフリカ大統領は今回の大統領選挙に、立候補しないことを、宣言すると同時に、選挙そのものを実施しない、と語っている。

 彼は人生最後というか、大統領職の最後に、国家に貢献したい、と望んでいる。古い法制度を改革し、アルジェリアを新生国家に創り変えたい、と望んでいる。そして、その新制度の新国家を、新世代に渡したいと望んでいる、ということだ。

 この大改革を巡り、会議は2019年の終わりまで続き、その後には、新制度の下に、大統領選挙が実施される、という予定だ。

 果たして、これはブーテフリカ大統領の本心なのか、単なる夢なのか、あるいは奸計なのか。私はこれはブーテフリカ大統領の、本心と信じたい。彼はアルジェリアの革命に参加した、愛国の闘士であり、その後、大統領に就任している、国内政治では確たる成果を、上げることが出来なかったようだ。

 それは、アルジェリアだけの問題ではなく、アルジェリアを支配下に置こうとする、外国の関与にもよろう。例えば、フランスはアルジェリアの石油やガスを支配し、自国の国益に資したいと思っていたし、今回の反ブーテフリカ・デモでも、フランスは相当の神経を使っている。それは、アルジェリア国民のことを、心配してではなく、フランスの権益が守られるかどうか、ということによる。

 私はブーテフリカ大統領の、最後の愛国心を信じてあげたい。最後は誰も、名誉ある舞台からの撤退を、望むのではないか。