シリア北部にあるアレッポの街のスークが、再建され始めている。このスークは2000年以上前から、あったものであり、それが大型のスークになったのは、オスマン帝国の時代だ、ということだ。
この再建に関わっているダヘル氏は『歴史を書き換えているような気分だ。』と語った。まさにその通りであろう。1500平方メートルの広大なスークが、戦禍の廃墟から、再建されるのだから。
50軒以上の店舗や住居が、この中にはあった。このスークはUNESCOの、世界遺産の一つにもなっている。ウマイヤド・モスクなどは11世紀に遡るということだ。その歴史的価値のあるこのスークは、60パーセント以上が破壊にあっている。
そして、30パーセントが完全に崩壊したが、昨年11月1日から再建工事が、始められている。この再建事業にはアガ・カーン財団も協力しているということだが、7月には再建工事は、完了する見通しだ。
37のスークが寄り集まっており、ここは東西貿易の中継地点だったのだ。ここには店舗があり、学校があり、モスクがあり、トルコ風呂もあったのだ。実はこのアレッポは以前にも破壊されたことがある。それは何度かの地震によるものだった。しかし、住民はその破壊から再度、アレッポのスークを再建してきたのだ。
関係者は、『いま一番重要なことは、店舗などのオーナーが、スークに帰ってきてくれることだ。』と言っている。その通りであろう。例えどんなに立派に再建されても、そこに昔のような住民や、商店主がいないのでは、話になるまい。
この再建では古いブロックを探し出し、出来るだけ昔のように、建て直そうとしている。ジグゾー・パズルのような面倒な作業が、当分の間、続くということであろう。再建の折には、多くの観光客が駆けつけてくれることを、期待したい。
スークでは中東インドアジアなどから集まる香料、金銀細工、宝石類、そして絹織物やじゅうたんなど、乾燥果物ナッツ類が売られていたのだ。その中の一つ銀細工製品は、秋田の繊細な銀細工に引けを取らない、すばらしいものだ。それが日本の100分の1以下の値段で、売られていたのだ。