『アルジェリアはどうなっているのか』

2019年3月 3日

  日本人にはいまひとつ、関心が薄いアルジェリアだが、いまこの国は極めて危険な情況に、向かっている気がする、この国の国民性は是々非々が、きわめて明確であり、何事も恐れずに、戦う性向があるようだ。

 それは多分、150年にも及んだ反フランス植民地闘争で、植えつけられたものであろう。留学時代に他のアラブ人に言われたのは、アルジェリア人は気が荒いから気をつけろ、彼らは簡単に人をナイフで刺すというのだった。私自身は特にそのような情況に、直面したことは無かったが。

 いまアルジェリアでは、ブーテフリカ大統領の5選をめぐり、国民が反対運動を始め、次第にそれは過激化しているようだ。あるいは大規模化しているという方が、正しいかもしれない。

 この前起こったデモでは、治安警察が57人が負傷し、デモ参加者の側にも8人程度の負傷者が出た、と伝えられている。なおこのデモは全国規模のものであり、85万人が参加下とも伝えられている。

 このニュースを目にしたとき、私はどうやらブーテフリカ体制も、終りが近づいているというものだった。もちろん、その判断を下すには今後の情況も分からないし、充分な現段階の情報も無いのだが、あくまでも私の感のようなものだ。

 そう判断したのには幾つかの根拠がある。まず政府側がこの全国デモに、85万人が参加したと報じたことだ。それは多数のアルジェリア国民が、ブーテフリカの辞任を望んでいる、ということを示しており、それを政府が強調したということだ。

 そして治安警察官の側に、デモ参加者より何倍もの負傷者が、出ているということは、治安警察の側のデモ隊に対する対応は弱く、逆にデモ参加者の方が強気だ、ということだ。

 その結果、アルジェリアの政府幹部の中から、もうブーテフリカを擁護するのは止めよう、という雰囲気が盛り上がってくるのではないか、と考えたのだ。そして、81歳にもなるブーテフリカは、アルジェリアの権益集団によって、捨てられるということだ。

 世界では生涯大統領という例が幾つか見られるが、フランスなどの民主主義を知るアルジェリア人は、その限りではあるまい。多分アルジェリア政府はブーテフリカの再立候補を抑え、臨時大統領を立てて、再スタートするのではないか。

 その場合、民間人か政府高官から、新大統領が出てくるのではないか、と考えられるが、あるいは軍の幹部からかもしれない。いずれにしろブーテフリカの時代は終わる、ということだ。

 そう収めなければ、アルジェリアではデモが大規模化し、過激化していき、最後には10万人単位の犠牲者が、出ることになろう。それは1990年代に起こった闘争で、大量の犠牲者を出した前例があるのだ。

 果たして、ブーテフリカは長期の大統領経験から、名誉ある幕引きが出来るのか。あるいはフランスの病院で、アルジェリア政府あるいは軍によって、ある種の幽閉状態で終えるのか、気になるところだ。新しい情報が入ったらまた報告しよう。