トルコ経済の将来は、決して明るく無さそうだ。現段階でもその事が、予測できるのは、トルコの現状が極めて厳しいからだ。失業率が上がり、インフレが昂じているし、輸出もそう伸びていない。トルコの輸出は明らかに、減少傾向にあるのだ。
最近ではトルコで操業している日本企業が、2021年頃を目処に、工場を閉鎖すると言い出している。それだけ将来の見通しが、暗いからであろう。これらはトヨタでありホンダである事を考えると、これまで誇りにしてきたトルコ製造業に、ダメージが生じることが明らかだ。
そうした暗い予測を見て、国民や企業はトルコ・リラを売り、ドルを買う方向に、動き出している。昨年9月の段階で、そのトルコ・リラ売りドル買いは、180億ドルにも達したということだ。
トルコでは47パーセントが、ドルで金を貯めている、ということのようだ。それは、過去13年のなかで、最も高い割合だとされている。そうなるのも無理はない、インフレが昂じているから、トルコ・リラで持っていたのでは、生活が成り立たなくなるからだ。トルコ・リラは国民の間で、信用を失った、ということだ。
これは直接的に、政府の信頼に影響を与えるため、政府と中央銀行はインフレ対策を講じて、3月の地方選挙に備えようとしている。インフレは昨年10月の段階で、25・2パーセントを記録している。これは過去15年で、最高のレベルなのだ。
政府はこのインフレ対策に、農民から直接野菜を買い上げ、直接売ったりもしているが、なかなか効果は出ていないのではないのか。
スタンダード・アンド・プアー(S&P)社は、過去に30パーセントのトルコ・リラ下落があったことを踏まえ、2022年にはドルに対して、1トルコ・リラが6・88リラまで下がると見通している。ちなみに、現在のレートは5・3リラ前後で、推移している。つまり、今後トルコの経済は、ハード・ランデングを余儀なくされる、ということであろう。