ポーランドのワルシャワとロシアのソチで、二つの中東問題会議が開催された。ワルシャワ会議はアメリカの主催であり、ソチ会議はロシアの主催だった。そのいずれに、どのような成果が出たのかは、世界の関心を呼ぶところであろう。
アメリカはワルシャワ会議に先立ち、これは今後の中東の平和と安定を、生み出す重要な会議だとして、多くの国々に声をかけた。しかし、当初は75か国の参加が、見込まれていたのだが、実際に集まったのは、60か国でしかなかった。
また、アメリカはこの会議を首脳会議、つまり各国のトップが参加するもの、と宣伝していたが、実際に集まったのは、首相でも外相でもない、一般公務員が多かったようだ。
つまり、参加各国は初めからこの会議に、何の期待もしていなかった、ということであり、それでも参加するのは、アメリカのメンツを守るためでしかなかった、ということであろう。
他方、ロシアが主催したソチ会議には、ロシアのプーチン大統領はもとより、イランのロウハーニ大統領、トルコのエルドアン大統領という、トップが参加することとなった。ロシアはこのワルシャワ会議で、シリアの今後を討議したわけだ。
そこには、イランが今後シリアにどう関与していくのか、トルコは今後どうシリアに関わって行くのかという、具体的なテーマが討議されている。従って、参加各国にとって、極めて重要な意味を持つものであった、ということだ。
もちろん、だからと言って、ロシアとトルコが全てのテーマについて、合意したわけでもないし、ロシアとイランとの間でも、意見の違いは出た。それでもフランクに意見交換ができたことは、今後のシリア情勢を明るくし、ロシアとトルコやイランとの関係を、スムーズにしていく足跡となったものと思われる。
アメリカがこのワルシャワ会議で失敗したのは、アメリカが同じ時期に、多くの問題を抱えていたために、力をワルシャワ会議に結集することが、出来なかったからであろう。
アメリカはいま、メキシコとの国境の壁建設問題。ベネズエラに対する制裁問題を抱えているのだ。これではアメリカ国内の意見が割れ、トランプ大統領の信頼も、次第に低下傾向にあるのだ。
もう一つは、トランプ大統領の乱暴な言辞が、参加国に不快感を与えていることもあろう。彼の強引な外交手腕は、反発されることはあっても、合意など生み出す可能性が、低いからだ。アメリカは次第にあらゆる面で、ロシアには勝てない国に、成り下がってきている、ということとであろう。