『トランプはイラクの米軍基地堅持』

2019年2月 4日

 トランプ大統領はイラクのアメリカ軍基地を、今後も維持していく方針であることを、CBSとのインタビューで明らかにした。彼に言わせると、イラクのアメリカ軍基地は、膨大な資金が投入されて、完成されたものであり、簡単には手放したくない、ということであろう。

 トランプ大統領はシリアから撤退予定の,アメリカ軍はほとんどが、イラクのアメリカ軍基地に留まる。しかし、具体的にアメリカ軍を何時、シリアから撤退させるのかについては、明言を避けた。

 その理由は、シリアの周辺諸国の利害や、アメリカ国内のなかでも、彼の政党共和党内部の、意見調整の必要が、あるからだということのようだ。今後、イラクのアメリカ軍基地を、イラン監視の場所と定めたということだ、ということも語っている。

 トランプ大統領はイラクの基地から、イランを監視する予定であり、今後、イラクのアメリカ軍基地をイラン監視の場所と定め、イラン監視を続けるということだ。それではアメリカは将来、イランを攻撃するのかという質問に対しては、トランプ大統領にはイランを、軍事攻撃する予定は無いことを、明らかにしている。

 これでは、アメリカのトランプ政権が考えている、中東政策は関係諸国には、丸見えであろう。私ですらシリアから撤退する、アメリカ軍は物資も人員も,イラクのアメリカ軍基地に入るだろう、と予測していた。

 加えていうならば、アメリカには既に、イランと戦争するだけの気概も、資金力も、軍事力も無い、ということだ。もし、下手にイラン攻撃を始めれば、カタールにある中東最大のアメリカ軍基地は、イランのミサイル攻撃で、炎に包まれるであろう。

 また、アメリカ軍がイランを攻撃すれば、イラン軍によってホルムズ海峡は、封鎖されてしまうだろう。こんな危険な決断は、トランプ大統領には出来まいし、彼以前のアメリカ大統領にも、出来なかったのだ。いまのアメリカにできることは、せいぜいベネズエラという小国を、いじめ政権転覆させることぐらいであろうか。

 そして、アメリカにいまできることは、アメリカ支持のアラブ湾岸諸国に対し、精いっぱい『お前らをイランから守ってやる。』という空威張りだけではないのか。しかもそれには『金を出せ。』というのだから体の悪い、悪たれ用心棒のようなものだ。

 そうしたアメリカの弱体化を、ひしひしと感じているのは、イスラエルであろう。そのためか、イスラエルは最近になってロシアとの距離を、詰めてきている。それに付け込んで、嫌味を言い始めたのは、トルコのエルドアン大統領だ。

 アラブ諸国はみなアメリカの弱体化を、心の中ではせせら笑っているのではないか。それを露骨に口にするのは、レバノンのヘズブラだけであろうか。いずれにしろ、アラブ大衆の心はますます、アメリカに対して、冷たくなってきていることは確かだ。そして、そのことは親米派のアラブ諸国のリーダーたちの立場が、ぐらついてきている、ということでもあろう。