『イラン・シリア・ヘズブラがイスラエルと緊張関係』

2019年1月28日

 ここに来て突然のように、イラン、シリア、ヘズブラがイスラエルに対して敵対的なスタンスを取り始めている。それはイランの革命防衛隊司令官ムハンマド・バゲリ准将の発言や、キオマルス・ヘイダリ将軍の発言から、感じられる。

 ムハンマド・バゲリ准将は『イランは外国を攻撃する、意図は持っていないが、自国を守る意思は固い。もしも、外国がイランに対して、攻撃する意図がある、と感じられたり、その証拠が出てきた場合は、即座に対応する。』といった内容の発言をしている。

 キオマルス・ヘイダリ将軍も「我々は防衛態勢から攻撃態勢に、切り替えている。敵がこちらを攻撃すると感じた場合や、その証拠が出てきた場合は、それを放置せず即座に対応する。』と語っている。

 同じ様に、レバノンのヘズブラのリーダーである、ナスラッラー師もイスラエルを嘲笑する内容の、発言をしている。彼はこれまでイスラエル軍が発見した、と言っているトンネルについて、ヘズブラはこれでイスラエルを攻撃できなくなった、とイスラエルは発言したが、それらのトンネルは2006年戦争当時の、古いものであり、いまでは使っていない。

我々はいまでも新しいトンネルを使って、イスラエル領土に、攻め入ることができる、と語っている。また、イスラエル国内のガリリー湖まで、攻め入ることができる、とも語ってもいる。

 何故いまの段階になって、突然イランやヘズブラは、攻撃的な強硬発言を、始めたのであろうか。これについては、幾つかの出来事が影響していよう。最近になって、イスラエル軍はダマスカス近郊

ブラとの戦の、イラン軍基地を複数回攻撃し、相当の犠牲が出ている模様だ。

その詳細については,イラン軍は発表していないが、軍の幹部の死亡もあり得よう。また、それはシリアにとっても激怒する内容の攻撃であったろう。そうである以上、イランも、シリアもヘズブラも、座視できないので、何がしかの反応を、明確に出す必要があった、ということであろう。

イスラエルの軍幹部は、イランとヘズブラとシリアが、合同でイスラエルを攻撃して来る、可能性があることに、懸念を抱いている。この点について軍事専門家ポール・ラルデー氏は、『ヘズブラの所持する武器のレベルは、既にイスラエルが阻止できる、レベルのものでは無くなり、イスラエルは応分の対応を出来なくなっている。』と語っている。

2006年に起こったイスラエルとヘズ争で、イスラエル側は十分にそのことを、分かっているはずだというのだ。2006年の戦争では、イスラエル軍はレバノンのインフラを、破壊することは出来たが、ヘズブラを降参させることは、出来無かった。

他方、イスラエルは多くの戦死者が出たことや、ヘズブラのミサイルが、イスラエル内奥まで、届いたことで驚愕し、戦争後には軍や政府の幹部の、責任逃れという、大失態が世界的に知られることとなっている。

今回のイランやヘズブラ、シリアの強硬発言は、そのまま戦争に進むものとは考えないが、もしイスラエル側が過剰な反応を示せば、戦争に至るかも知れない。シリアにはいまではロシアという、大国が控えており、戦争を始めても有利な段階で、止めてもらえるという強みが、イランにもシリアにも、ヘズブラにもあるのではないのか。