『アメリカトラック250台武器等シリアに搬入』

2019年1月26日

 アメリカのトランプ大統領はシリアからの、アメリカ軍の撤退を発表したのは、先月のことだったと思う。しかし、現実に動いていることは、これとは正反対であり、今回は250台のトラックに積まれた、武器その他の戦略物資が、シリアに届けられたということだ。

これらの物資は、イラクのクルド地区から運ばれたものであり、シリアのハサカ、ラッカ、アレッポなどに、持ち込まれ分配されるようだ。(多分、アメリカ軍の完全撤退に先だち、クルドのYPGやSDFに武器が、渡されるのではないか。YPG、SDFがアメリカ軍の撤退の後、トルコ軍と武力衝突することが予測されているからだ。)

 トランプ大統領はIS(ISIL)が、シリアで敗北したと言うが、ポンペオ国務長官はそうではなく、IS(ISIL)は未だにシリア国内で、軍事展開していると述べている。トランプ大統領とポンペオ国務長官の状況判断が、明確に異なっているということだ。

 現在アメリカ兵の撤退にあわせ、アカデミーと呼ばれる軍事支援会社(傭兵会社)がシリアに入ってきている。このアカデミー社はもとの、ブラック・ウオーター社なのだ。この会社のエリック・ペンス社長は『アメリカ政府はシリアでの軍事行動に、長期的戦略を持っていない。一気に撤退させることには反対だ。』と語っている。

 このシリア対応へのアメリカの立場変更は、何処から来ているのであろうか。トランプ大統領の煙に巻く作戦なのか、あるいはアメリカ政府内部の、意見の対立なのであろうか。どうも後者ではないかと思われる。

 つまり、いまのアメリカは軍を中心とした強硬対応派と、トランプ大統領の平和対応派に分かれている、ということだ。もし、このような状況が長続きすれば、世界はアメリカ政府を、信用しなくなるだろうし、トランプ大統領がこのまま、軍の暴走を許せば、大統領の立場が危うくなろう。

 アメリカはこれまでも何度と無く、大統領がスキャンダルで追放されたり、暗殺されている国だ。トランプ大統領の場合にもそうした事態が、起こるかもしれない。2019年はトランプ危うしの年になるのか。