『ホワイト・ヘルメット米軍に代わりシリアに駐留』

2019年1月20日

  いまの時代は何事も、代行業の時代なのかもしれない。近くは家の掃除、洗濯、料理、年寄りの介護などは、代行業者が金さえ払えば、何でも代行してくれる。それがいまでは戦争も、代行屋に頼む時代のようだ。

 アメリカのトランプ大統領が、戦争なんか金がかかって馬鹿らしい、シリアにいる米軍は即決撤退させる、と息巻いたのは去年の、クリスマス前のことだった。しかし、現実にはアメリカ国内の、いろんな勢力がこのトランプの考えに反対し、彼の所属する共和党内からも、反対が出ているのだ。

 結果的には、一部の戦略物資は引き上げたものの、アメリカ兵は未だにシリアに、張り付けられているようだ。トランプ大統領はこのアメリカ兵も、引き上げさせたいということで、出てきたのが代行業者を使うアイデアだ。

 それは、ホワイト・ヘルメットと呼ばれる、かつてのブラック・ウオーターという戦争の代行業者だ。ホワイト・ヘルメットは表向き正義の味方、人道支援といわれているが、その実は、ガス兵器の使用や殺戮、偽旗作戦を得意とする組織だ。そもそも、ホワイト・ヘルメット社はブラック・ウオーター社の評判が、悪くなったために、名前を変えて出てきた、同じ組織なのだ。

 その偽旗作戦を口実に、アメリカはこれまで、シリアのアサド体制が、シリア国民を殺していると非難し、戦争を継続し駐留を、正当化してきていたのだ。そこでは声高らかに『アサド大統領は国民を殺している、アメリカがそれを止めるために、駐留を継続する。』と叫ばれてきた。

 そして、その見え見えの嘘を、世界の主要マスコミは、まことしやかに報道し続けていたのだ。官とマスコミの癒着は、日本でも見られるが、この場合は人が死ぬのだから、たまったものではない。

 今回、そのホワイト・ヘルメットの社長である、エリック・プリンスはホワイト・ヘルメット社が、アメリカ軍に代わってシリアに駐留する、と言い出しているのだ。それは事実であろう。

 彼に言わせると、アメリカ政府には戦争に関する、長期的展望が無いということで、それに代わるということだ。彼はいけしゃあしゃあと、『私もシリアに長期駐留するつもりは無い。』と語っている。つまり、早い仕事をやるということであり、これは相当乱暴な作戦が、展開されるということであろう。

 このホワイト・ヘルメットの部隊は、これまでアメリカ軍と協力してきた、クルドのYPGなどと、協力作戦を展開するということであり、その結果、トルコ軍が軍事行動に出れば、相当の犠牲が、双方に出るということであろう。トルコもまたFSAという、アラブ人を中心に組織された、ミリシアを代行業者として使う、ということであろう。

ブラック・ジョーク的に言うと、『トランプ大統領、そしてエルドアン大統領、あなた方は偉い、国民の犠牲を最小限に抑えることに成功しそうだ。シリア人が何人死のうが、代行業者の戦闘員が何人死のうが、それは金で済むことだ。トランプ大統領は,アメリカ軍をシリアに駐留させるより、ホワイト・ヘルメットを使うほうが、経費は安く上がる。と豪語している、さすがはビジネスマン上がりの大統領、しっかり算盤をはじいていらっしゃる。』ということになるのか。