アメリカ軍の中東最大の基地が、アラブ湾岸諸国のカタールにあることは、ある程度日本でも知られていよう。それは考えようによっては、カタールがアメリカと姉妹関係(属国)になった、ということを現していよう。まさに一衣帯水の関係ということだ。
その中東最大のアメリカ軍基地が、今後さらに拡張されることが発表れた。これではカタールの領土の何割が、実質的にアメリカに支配されているのか、疑問が浮かぶ。カタールは現在、アラブ湾岸諸国からボイコットされており、サウジアラビアは機会があれば、カタールに対する軍事侵攻も、辞さないという姿勢だ。
以前には、サウジアラビアがカタールの国王を、暗殺する計画を立てたこともある、と伝えられているほど、両者の敵対感情は、激しいものになっているようだ。サウジアラビアはイエメンと言い、カタールと言い、イランと言い、兎に角敵対することが、好みなのかもしれない。
それは実はサウジアラビアの国内情勢が、極めて不安定だからではないのか。だから国民の関心を、国外に向けよう、国民の怒りを国内ではなく、国外に向けようという作戦なのではないのか。
そうしたサウジアラビアの敵意の前に、カタールには対抗手段が無く、唯一頼れるのはアメリカ軍の存在であろう。このため、カタールはアメリカ軍の拡張を、簡単に認めたのであろう。
カタールはそれだけでは無く、アメリカに45億ドルの投資を、行うことも決めた。金の力でアメリカを引き付けておきたい、ということであろう。カタールにしてみれば、国を失うよりは45億ドルの金で、アメリカに守ってもらえるのなら、安いものであろう。
アメリカはこうしたカタールの、好意的なオファーに対して、アラブ湾岸諸国はカタールをボイコットすることを止め、受け入れるべきだと言い出している。それは正論なのだが、同時にその言葉はサウジアラビアに対する、警告でもあろう。
アメリカとサウにアラビアとの関係は、カシオギ事件以来、最悪の状態にあると評する専門家もいる。確かにアメリカの居住権を持つ、アメリカ一流紙の評論家が、こともあろうに、サウジアラビアの領事館で、殺害されたのだから、アメリカにとっては面子丸つぶれ、であったろう。
トランプ大統領のサウジアラビア擁護も、最近、影を潜め始めているが。アメリカ議会では民主共和両党共に、サウジアラビアに対する厳しい対応を、求めている。
これでアメリカは完全に、カタールとサウジアラビアを、手玉に取れるようになった、ということか。ご丁寧にも、イランが核濃縮を始めており、アメリカはアラブ湾岸諸国に、大量の武器を買わせるつもりでもあろう。