『安全地帯完成で400万人の難民シリアに帰国』

2019年1月29日

 トルコのエルドアン大統領は大げさな話が,好きな人物のようだ。今回はトルコとシリアとの国境(シリア領土側)に、難民キャンプを造成し、そこにシリアからトルコに入っている難民を、帰すという発言だ。

 しかも、この難民キャンプは1か月以内に、完成させるというのだ。それは無理な話だと思うのだが、もしテントであれば、可能かもしれない。しかし、それでは難民は、吹きさらしの砂漠のなかに、投げ出されるも同様であろう。国境地帯は冬は厳寒、夏は猛暑であろう。

 そして、次にエルドアン大統領が発言したのは、安全地帯が出来上がれば、そこにトルコに居るシリア難民、400万人が帰って行くだろう、というのだ。そのことから不安になるのは、現在トルコ国内である程度、我慢できる状況で暮らしている難民たちが,エルドアン大統領の意向で、シリアに追放される、ということだ。 

 エルドアン大統領は性急な性格であり、自分の発言はどうしても実行したい,と考えるタイプの人物だ。そのことは今後、トルコ国内で生活しているシリア難民の、400万人が強制的に追い出される、追放されることになる可能性が、高いということだ。

 シリアの難民はトルコが造った安全地帯に、引き上げていくことを、希望している。彼らは帰国できることが嬉しいのだ、という宣伝をトルコはしよう。しかし、現実は生活の当てのない、破壊されたシリアに、いまの段階で帰って行くことは、シリア難民にとっては、大きな負担ではないのか。

 場合によっては、多くのシリア難民が、銃口を向けられて、強制的に帰国させられるのではないか。もちろん、そんな場面は間違っても報道されまい。シリア難民もトルコ国民も、喜びの表情を満面一杯で、送り出し、送り出される映像が、あふれることになろう。

 最近では報道の嘘が、当たり前のようになってきている。シリア・トルコの問題でも、いかんなくその時代光景が,影響することになろう。それでも、いつなのだから。あるいは、強制帰国させられるシリア難民が、国境地帯で暴動を起こし、多くが銃撃され、倒れ犠牲になるかもしれない。