豊かな国は自国の兵士を、戦場に投入しても戦闘はさせない、という雰囲気が世界的に広がったのが、今年の特徴だったのではないか。金の有る者は血を流さず、金の無い者は自分の血で、少しばかりの金を得るということだ。
世界中を騒がせた、IS(ISIL)の戦闘員についても然りだ。彼らは何もIS(ISIL)の思想に惹かれて、IS(ISIL)に加わっていたわけではない。基本は生活苦の解消に、あったのだ。
ごく一部の例外はあっても、IS(ISIL)に参加した者たちは、経済的に厳しい国の人達が、多かったのだ。アラブではチュニジアがそうであり、この国では失業、物価高などが際立っている。中央アジアのウズベキスタンや、タジキスタンからの参加者も然りだ。
シリアの内戦では、アメリカ兵はシリアに入ったものの、飛び道具(空爆やミサイル攻撃)での戦いがほとんどで、地上戦にはほとんど、加わっていなかったのではないのか。アメリカはトルコ兵に戦闘を任せたが、トルコも比較的経済的には、余裕があったのであろう。
トルコも下請けの雇い兵を募ることになった。その雇い兵はシリア国内の、アラブ人やマイノリテイなどであり、集められた戦闘員たちは、FSA(自由シリア軍)と名づけられた。そして、それをアメリカは自由の戦士たちであり、イスラム過激派テロ集団ではないとした。
アメリカもまたシリアでは、クルド人を傭兵とした。彼らはSDFとかYPGとかPYDと名づけられ、戦闘に参加した。これも、アメリカはクルドの自由を求める戦士たちであり、自由の戦士であり、イスラム過激派ではないとした。
アメリカの認定はいい加減であり、その時々のアメリカの都合によって、一つの戦闘集団がイスラム過激派になったり、自由の戦士になるという具合だ。例えばアルカーイダのシリアにいるグループは、ヌスラと名乗り始め、穏健派と見なされるようになったが、彼らはシリアでの戦闘の始まりには、人の内臓を食うシーンを、ネットで流していた。
サウジアラビアも然りで、イエメン戦争ではスーダンから少年を集め、銃を持たせて戦わせている。彼ら少年たちが一日に受け取る日当は、多分1ドルか2ドル以下ではないのか。それは少年たちの命の代償なのだ。
一番酷いのは自国の政府が、自国民を戦闘員にする形ではないのか。パレスチナのガザにいるハマースは、大衆蜂起の名の下に、子供たちまで危険な前線に狩り出し、デモをさせ死亡させている。
アメリカのトランプ大統領は、国民を戦線から戻すと言い出し、シリアから撤退させることを明言し、アフガニスタンからも撤退させようとしている。彼の本音が何処にあるかは知らないが、表面的には最もその通りであろう。