『アメリカ軍シリアに残存』

2018年12月23日

  トランプ大統領はアメリカ軍を、シリアから撤収する、と公言した。それは、トルコのエルドアン大統領の助言に、基づくものだったとされている。しかし、その後の動きを見ていると、どうもアメリカ軍のシリアからの完全撤退は、ありえないようだ。

 シリアの北東部にあるタヌフ基地には、未だにアメリカ軍が留まり、撤退の様子は見えていない。そのタヌフ基地でアメリカ軍と協力している、マガウイール・サウラというグループは、ムハンマド・アッタッラーが主導しているが、彼はアメリカ軍は撤退する気配がない、と語っている。

 これまでロシア、ヘズブラ、シリアは、アメリカ軍の撤退を、呼びかけてきていた。そこには、5万人を収容する、難民キャンプがあるからだ。しかし、この地域に近いところに、イラン軍が陣取っており、なかなかアメリカ軍も、立ち去り難いのであろう。イラン軍はここから近いブカマールに、陣取っているからだ。

 イスラエルの専門家の語るところによれば、アメリカ軍はシリアの全域から撤退したくは無く、継続して留まりたいと考えている。アメリカ軍はクルドを放置したくない。これに対してエルドアン大統領は、アメリカに猶予を与える方針だ。

 アメリカ軍の撤退は、40日から60日とされているが、実際には4ヶ月から6ヶ月の長きに及び、最終的には撤退が覆されるのではないか、と見られている。

 アメリカとイラクは交渉を続けており、イラクの特別作戦部隊(ISOF)は、IS(ISIL)のイラクからの追放に、活躍した部隊だ。その部隊の幹部ムハンマド・ドレイミは、アメリカ軍はこのシリア・イラク国境のそばに、新たな基地を構築している、と語っている。

 今後の情況はロシア・アメリカ・トルコの協議の結果、決まっていくのではないか、ということだ。つまり、トランプ大統領の発言とは異なり、アメリカ軍には今後も少なくとも、一定期間はシリアに留まる必要がある、と判断しているということであろう。

 確かに今回のトランプ大統領の突然の撤退発表は、多くの関係諸国にショックを与えたのだから、さもありなんということだ。