『アメリカ軍のシリア撤退はエルドアンに任せた結果』

2018年12月22日

 何処まで信用できるか分からないが、今回のアメリカのトランプ大統領のシリアらの、アメリカ軍の全面撤退はトルコに後を任せたからだ、という報道がトルコのフッリエト紙に掲載されている。

 それによると話はこうだ。1214日エルドアン大統領は、アメリカ軍のシリアからの撤退を、強く要求したということだ。これに対してトランプ大統領はエルドアン大統領に対して、トルコ軍は東ユーフラテス地域から、IS(ISIL)を追放できるかと尋ねた。

 トルコはこれに対して、YPGはIS(ISIL)掃討に役立っていない。YPGが望んでいるのは、東ユーフラテス地域を支配することだけだと答えた。そして、トルコ軍はIS(ISIL)と戦い、彼らを打倒することができる。実際に2016年には、トルコ軍がIS(ISIL)を攻撃し、4000人のジハーデストを、降伏させることが出来ている。

 サウジアラビア、イスラエル、ヨーロッパ諸国、クルドはアメリカ軍の撤退を望んでいない。アメリカ政府内でも国防省などは、撤退に反対している。シリア軍はアメリカ軍の撤退にあわせて、東ユーフラテス地域のYPG掃討作戦を、開始するだろう。と語ったということだ。

 トルコ側にすると、問題はアメリカがYPGに与えた武器を、回収するか否かということだ。トルコ政府はアメリカ政府に対して、以前からYPGへの武器供与に反対し、止めるよう要求してきたが、これに対して、アメリカ政府は時期が来たら取り上げる、と答えてきている。

 しかし、アメリカ政府がこれまで信頼して、共同で作戦を行ってきていたYPGから、与えた武器を取り上げるとは思えない。そうなると、トルコ軍の作戦には相当の犠牲が、伴うことになろう。

 トランプ大統領らしい無責任な、政策の現れであろう。アメリカ軍が撤退した後、IS(ISIL)が再度活性化したら、トルコ軍の責任にするのであろう。アメリカ軍はシリアからの撤退と時期を同じくして、シリアに近いイラク領内に、軍事基地を構築している。

 相当数のアメリカ兵士は、シリアからそこに移動するのであり、もし、シリア国内の情況が悪化すれば、何時でもシリアに進軍できる体制を、残すということであろう。