『イエロー・ベスト・デモが拡大』

2018年12月20日

 フランスで始まったイエロー・ベスト・デモは、参加者の数が遂に,10万人のレベルにまで拡大した。パリで始まったこの抗議運動は、フランス全土を覆うようになったのだ。

 そのことは,毎日のように報道されているわけであり、それが他の国には及ばない、ということはあり得ないだろう。ブリュッセルは最初に、パリのイエロー・ベスト・デモが、波及したところだ。

 そして地中海をまたいだチュニジアでも、同様のデモが起こった。こちらはイエローではなく、赤いベストが着用された。もちろん、チュニジア政府は直ちにこれを、抑えることになった。

 フランスからチュニジアに、イエロー・ベスト・デモが飛び火したのは、言語の問題があろう。フランスの報道はフランス語だが、チュニジア国民はそれを、直ちに理解できるということだ。何故ならばチュニジアは元は、フランスの植民地だったからだ。

 エジプトでもイエロー・ベスト・デモが始まったが、たちまちにして抑え込まれ、政府はイエロー・ベストの販売を禁止してもいる。なんとか大デモにならずに抑え込めた、ということであろう。

 トルコにもこのイエロー・ベスト・デモの波が、押し寄せた。しかし、トルコのエルドアン大統領はこれを、早い段階で抑え込んだために、社会運動現象にまでは、至らなかった。

 エルドアン大統領はこのことについて、およそ次のような発言をしている『バカ者どもが自分で墓穴を掘り、そこに転がり落ちようとしている。政府は容赦しない。』というものだった。

 これまでトルコでは政治犯とされて、逮捕された者の数は、15万人を超えており、そのうち、いまだに投獄されている者の数は、5万人を超えている。笑い話のような話だが、あまりにも多い逮捕者の数に、刑務所の部屋が足りなくなり、受刑者は交代で寝ている、ということが報じられていた。

 そもそもの始まりは、フランス政府がガソリ代の値上げを、したことだった。それに抗議するデモで始まり、その後は、あらゆる政府の方針に反対する、ということになり、最近ではデモにかこつけて、高級店が強奪されるということも、起こっている。

 この流れの中で多数が逮捕され、拷問を受け、投獄されることになったが、それだけ社会問題が多くある、ということであろう。フランスのマクロン大統領は、緊急に方針を変更して、少し落ち着いてきてはいるが、無い袖は振れまい。また時期を見てデモは激しさを、増すのではないか。それだけ、ヨーロッパにもアラブにも、社会問題は山積しているのだから。