サウジアラビアのサルマン国王は、サウジアラビア建国以来、最高額の予算を決定した。その内訳は種々出されているが、ほとんど興味がないので、要点だけを伝えることにする。
今回の予算は第一に、サウジアラビアの経済発展に、投資されるということであり、サウジアラビアの経済安定に重点が置かれている。また、地方の発展にも相当額の投資が、なされるようだ。
また、国防についても重点が置かれており、予算策定の段階では、国防相の発言も重要視された模様だ。イランという敵を抱え、イエメン戦争がいまだ収束していないことから、それは当然であろう。
ただ、今回の『サウジアラビア史上最高額の予算』なるものは、対外的なイメージ改善のための、アドバルーンとも取れないことはあるまい。カシオギ事件でサウジアラビアは、外国での評判を大きく落としている。
また、そのことでムハンマド・ビン・サルマン皇太子の、現在の皇太子の地位保全と、将来の国王への昇進も難しくなってきている。しかし、サルマン国王は何としても、この皇太子を次の国王に、据えたいのであろう。そのためには何でもやる、ということだ。
アメリカの議員に対するわいろ作戦、イスラエルとの協力など、いままででは考えられなかったようなことが、進めれられているのだ。それでもアメリカ上院では、カシオギ殺害の主犯は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子だと断定し、FBIなども同様の判断を出している。
そうした中での、今回の巨額の予算発表は、アメリカのビジネス界とトランプ大統領を、引き付けていることであろう。トランプ大統領はほとんど黒の、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は無罪だ、と言い張り、サウジアラビアとのビジネス拡大を、狙っているからだ。
しかし、気になるのはサウジアラビアが、巨額の石油輸出を梃子に、歴史上最大の予算を組むということが決まっても、実際に動かす金があるのだろうか、ということだ。外国政府や銀行は膨大な額の金を、サウジアラビアに貸すのか、という疑問がわいてくる。
石油価格については、まさに乱高下であり、一部ではバーレル300~400ドルに達する、という話もあるが、いまのところ60ドル前後で上下している。これでは確たる保証はあるまい。