『エルサレム首都承認は陰謀か』

2018年12月17日

 オーストラリアがエルサレムを、イスラエルの首都と認める、と発表した。しかし、そのエルサレムの範囲は西だけであって、エルサレム全体ではない。そのことは、1980年代だったかに交わされた、合意に沿ったものではないのか。西エルサレムはイスラエルに、東エルサレムはパレスチナに、ということだったと思う。

 この結果、オーストラリアはテルアビブから、西エルサレムに大使館を、移転することになろう。それはイスラエルにとっては、不満ではあるが実はその裏には、もっとすごいことが、隠されているのではないかと思える。

 既に、イスラエルはアラブ湾岸のオマーンやバハレーン、、カタール、アラブ首長国連邦とは、実質的な国交正常化の方向にある。後は双方がそれを正式に、発動するか否かにかかっている。

 今回のオーストラリアの、西エルサレムをイスラエルの首都と認める、という決定は、そのアラブ湾岸諸国とイスラエルとの間に横たわる、壁を破壊する力を持っているのではないか。

 今回のオーストラリアの動きを見ていて感じたのは、これは事前にいくつかの国々が話し合った、結果ではないかということだ。アメリカは一日も早くアラブ諸国、なかでもアラブ湾岸諸国にイスラエルを認めさせ、イスラエル人のビジネスマンを送り込みたい。そして、アラブ湾岸諸国の石油やガスから上がる金を、巻き上げたいと思っていよう。

 この計画に乗ったのはオマーンであり、次いでバハレーンであろう。もちろんサウジアラビアもアラブ首長国連邦も乗る話だ。要は誰が最初に猫の首に鈴を付けるかの、話のようなものであろう。

 オマーンには2度もイスラエル軍の高官が、訪問している。バハレーンはオーストラリアの決定に大賛成だ。アラブ各国もよく考えれば、西エルサレムをイスラエルの首都と認めるということに、大きな問題はないはずだ。

 後はなし崩しに、ずるずるとオーストラリアの決定に、アラブ諸国が追従していくのではないか。そうなれば、ほとんどの大使館がテルアビブから、西エルサレムに移転することになり、もし、パレスチナ国家が出来ても、また若しパレスチナ国家が東エルサレムを、手中に収めることができたとしても、隣接する西エルサレム、東エルサレムのそれぞれに、大使館を置くことはあるまい。

 結局、パレスチナ政府はイスラエル政府の、コントロール下に置かれるというか、軒下を借りての外交を、展開せざるを得なくなる、ということではないのか。