『戦争状態に向かうパレスチナとイスラエル』

2018年12月14日

 イスラエルとパレスチナの戦いは、もう70年以上続いている。その間に命を落とした、イスラエル人とパレスチナ人の数は、おびただしいものであろう。それでも、すべては時間の向こうに押しやられ、何時の間にか悲しみも消えているのであろう。

 しかし、その戦いで死んでいった人たちは、何も報いられないでいる以上、戦いは再度繰り返されることになる。灰の下に隠れていた熾火が、突然激しく燃え上がるのだ。それは一枚の紙きれであったり、子供の命であったりするのだろう。

 いまパレスチナとイスラエルは、これまでとは異なり、相当激しい衝突を繰り返している。パレスチナ自治政府もハマースも、イスラエルとの本格的な戦闘態勢に入ることを、呼び掛けている。

 そうした動きのなかで、現在受刑しているパレスチナ抵抗の生きた英雄、バルグーテイの部族が体制を組み、戦いを始めている。これはそれなりの宣伝効果があろうから、そのバルグーテイ部族に影響を受けた者たちが、新たに戦列に加わってくるだろう。

 つい先日は、アフラでパレスチナ人によって、イスラエル人が襲撃を受け、2人が死亡し数十人が負傷を追っている。当然、イスラエル側はパレスチナへの報復を誓い、パスチナ自治政府の本部のあるらまっらナブルス市は、イスラエル軍によって包囲されている。

 ガザでも毎日のように、パレスチナ人の間に犠牲者が出ている。身障者が狙い撃ちされ、子供たちも狙い撃ちされて、犠牲になっているのだ。こうした状態は現地の人たちを、狂気の状態に追い込んでいるのは、当然のことであろう。

 報復に対する報復が、何時までも続く状態が、生まれているのだ。今年はパレスチナにとっては、最悪の年だったようだ。トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認め、その結果、ネタニヤフ首相はイスラエルを民族国家とし、アメリカは大使館をエルサレムに移転し、幾つかの国もそれに倣った。

 イスラエル政府は大使館を、エルサレムに移転する予定の国のために、大使館用ビルを建設してもいる。こうすることによって、エルサレムをイスラエルだけの首都、としたいということであろう。だがそれは、武器を使うインテファーダが、始まるということでもあろう。

このネタニヤフ首相の強引な政策は、これからも多くの犠牲を、生み出していくということであろう。妥協のないところには、流血しかないのだから。だがそれはこれまでとは異なる、武器を手にしたインテファーダの、始まりを意味しよう。