『キューバ危機再来か・米露対立』

2018年12月12日

  ベネズエラは中米に在って、石油資源の豊かな国だ。しかし、実態はというと、とても大産油国とは思えないような、貧困がはびこっている。それをアメリカは独裁政権による、悪政の結果だと非難し、何かとベネズエラ問題に、手を出している。

 実はベネズエラは独裁政権であるから、同国は膨大な資源を持つにも関わらず、貧困なのではなく、アメリカの巨大資本がこの国から、搾取するために起こったことだ。

 そのアメリカは脅しをかけ、ベネズエラの体制打倒を、繰り返してきている。それと同じことは、中米の他の国でも起こったが、中米以外の他の地域でも起こっている。アフリカや中東がそれだ。政府による圧力によって、アメリカは自国の巨大資本の利益を、守ってきたのだ。

いまベネズエラにある体制は、反米であることから、アメリカ政府は強烈な圧力をかけ、同国の経済を破壊しようとしている。そこでベネズエラはロシアに、救援を求めたのであろう。

 このベネズエラのマドロウ大統領の、要請に沿って、ロシアは2基の核爆弾搭載可能な爆撃機を、ベネズエラの首都カラカスに送った。当然、アメリカのポンペオ国務長官はこれに噛み付き『ロシアとベネズエラという二つの悪党どもが、自由を犯し公的資金を搾取している。』と非難した。

 これに対して、ロシアのクレムリンのスポークスマンの、ぺスコフ氏も『いい加減な言いがかりだ』と反論している。

 さて、今回のTu-160というロシアの爆撃機は、核弾頭を搭載してきたのであろうか。そのことは、当然最高機密であろが、アメリカは核弾頭が搭載されているものと考えよう。その方がロシアとベネズエラを、非難しやすいからだ。ロシアからは160人のパイロットも、カラカスに入ったようだ。

 ロシアはシリアでアメリカが支援する、IS(ISIL)を徹底的に打ちのめしている。それを阻止することはアメリカには出来なかった。軍事的な能力もあろうが、アメリカにはロシア軍に対抗する正当性が、全く無かったからだ。

 今回のベネズエラの場合は、アメリカのまさにお膝元であるだけに、放置することはできまい。カラカスに到着したTu-160爆撃機は、核弾頭を搭載していた可能性を、否定できないのだ。そうなると、アメリカはシリアとは異なる、強硬手段を講ずるかもしれない。

 トランプ大統領は何時もの口先だけの、強硬意見を怒鳴りまくろうが、プーチン大統領には何の効果もあるまい。トランプ大統領はキューバ危機が起こった時の、ケネデイ大統領のような、政治的手腕も知性もあるまい。

 そうだとすると、今回の第二のキューバ危機(ベネズエラ危機)は、米露間に本格的な核の緊張を、もたらすかもしれない。注視が必要であろう。