『欧州諸国の不安定化イラン・トルコが懸念と警告』

2018年12月 9日

 フランスではイエロー・ジャケットを着た、大衆デモが続いている。その規模は拡大しており、しかも、抵抗する大衆と、それを阻止する警官の衝突は、激化してきている。デモ隊は警官のデモ規制に反発し、警官は催涙弾や警棒を、振るうようになって来ている。

 こうした情況についいて、『これは内戦だ』と評するマスコミも出てきている。確かにそうであろう。流血と催涙弾の爆発音が、連続して起こっているのだ。死者こそ出ていないようだが、多数が負傷していることは事実であり、その事はフランス政府も否定出来まい。

トルコのマスコミはパリの逮捕者の数は300人を肥えたと伝えているし、『パリは戦闘地域のようだ。』という意見が、トルコ政府高官によって語られている。また、『ヨーロッパは難民よりも自国民で、国内が混乱している。」今のフランスの情況を、トルコ政府高官は評してもいる。

 このフランスのデモはパリで始まり、パリはいま外国からの観光客の行動を制限し、パリの中心であるエッフェル塔には、近づけないようだ。それ以外の観光客の集まる場所も、観光客のなかから死傷者が出ないように、フランス政府が規制するのは、当然の措置であろう。

 フランスにとっては、観光は一大産業であり、昨今の観光規制は国家財政に、悪い影響を与えていよう。もし、デモが長期化すれば、それはますます酷い情況に、なっていくということだ。残念なことに現在の情況は、長期化の様相を呈している。

 また、デモはパリだけではなく、フランスの他の都市でも、始まっている。つまり、大衆デモはフランス全土に、拡大しているということだ。

 フランスの売り物のシャンソン、ワイン、冬の蛎を始めとする魚介類の、生食は楽しめない、ということであろう。これではフランスに旅行しても、何の魅力もなかろう。また、それはデモをする側の大衆の生活を、ますます苦しめていくことにもなろう。

 一体、何故こんなことが起こったのかと言えば、旧植民地支配の残滓であろう。旧植民地国からから押しかけて来る、膨大な数の移民者、そして彼らに対するフランスでの差別と侮辱、失業の蔓延が、こうした状態を生み出しているのであろう。

 加えて、イラクやシリアから脱出した、IS(ISIL)のメンバーがパリなどに流れ込み、そこでデモを扇動している、という話も聞こえてきている。そうであるとすれば、デモがもっと過激になっていくのは、時間の問題であり、爆弾や銃器が使われ始めるのも、もうすぐではないのか。

 フランスのパリばかりではなく、同様の情況がブリュッセルからも、伝わってきている。その事は、他のヨーロッパ諸国でも同じような情況が、生まれるということであろう。つまり、今後はヨーロッパ全体が、大混乱の中に引き込まれていく、ということだ。

 そうなれば、これらの国々の中で右翼勢力が拡大して行き、政府に強硬対応を要求するようになろう。そうなれば、事態はもっと悪化するということだ。誰がその最初の火付け役になったのかを、考える必要があろう。