『米上院議員皇太子をぼろくそ』

2018年12月 5日

 アメリカの上院議員リンデイ・グラハム氏が、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子を『キチガイだ。』と激しく非難している。そんな立派なことを、アメリカの国会議員は言えるのであろうか。

 アメリカがいままで、世界中で正義の名のもとに、殺してきた人数は、何百万人にも上っていよう。しかし、アメリカはそのどれに対しても、謝罪していない。キリスト教徒であり、世界をリードする立場にあるアメリカには、大量殺戮をやる権利がある、とでもいうのだろうか。

 しかも、アメリカがこれまでやってきた大量殺戮は、全く根拠のない話の場合が、ほとんどであろう。例えばイラクについてだが、アメリカはイラクのサダム体制が核兵器を開発している、化学兵器を所有しているということで、戦争を始め、160万人以上もの人たちを、殺しているのだ。

  結果的に、アメリカが主張したイラクの核兵器開発は、嘘であることがアメリカによって、明らかにされている。この場合アメリカは一言も、イラク国民に謝罪していない。

 リビアのカダフィ体制打倒もしかりだった。周到に計画されたカダフィ打倒の作戦は、まずカダフィ大佐がキチガイであり、非人道的であるから、許すべきではない、という論理が構築されたのだ。

 そして、カダフィ大佐が殺害された後のリビアは、11年以上が経過した今日なお、戦闘が続いており、その一部の組織に対しては、アメリカが武器や資金を、送っているようだ。そして、かつては、アフリカでもっとも豊かな国リビア、と言われていたものが、リビア国民は今や、最貧国のような生活を、強いられているのだ。

 例を挙げればきりがあるまい。東南アジアでも西アジアでも、アフリカでもアラブでも、アメリカは傍若無人な振る舞いを、続けてきているのだ。それにヨーロッパ諸国も日本も一言も、文句をつけていないのは、同罪だということであろう。

 今回のカシオギ殺害事件でも、それを焚き付けたのは、トランプ大統領の義理の息子であるクシェネルだと言われている。アメリカはカシオギが殺される以前から、この件がどうなるかを知っていた。

 カシオギはサウジアラビアの体制打倒の工作を、アブドルアジーズという人物と進めていたというのだ。彼らの電話でのやり取りは、全てイスラエルが開発した機器で、記録されていたとうことだ。(これはあるいは、トランプ大統領がカシオギ殺害に正当性をつけ、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子を救う作戦なのかもしれない。)

 イエメン戦争はアメリカがけしかけたものであろうが、これもカシオギ事件と同じように、アメリカがサウジアラビアの不安を、あおることによって、可能となったものであろう。その結果は、膨大な量の武器がアメリカからサウジアラビアに、売られているということだ。

 こうしたアメリカの不安作戦は、いつの間にか、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の思考回路の一部を、破壊していたのではないのか。そうだとすれば、アメリカは胸を張って、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子を、非難することなどできまい。

  ムハンマド・ビン・サルマン皇太子を、キチガイとアメリカの上院議員が呼ぶのであれば、その言葉をそっくりそのまま、彼に返してやりたいものだ。