もう15年程が経過した話だが、ここに来て、エルゲネコンは存在しなかった。あるいは、エルゲネコンガ存在したということを、証明する何もないという判断が、検察側から出てきている。
エルゲネコンとは政治家、官僚、軍人、ジャーナリスト、学者などで結成される、言わば影の政府組織だった。それが実際には、トルコの全てを決めていた、ということが問題になり、2007年頃に警察や検察が動き出し、2013年には200人を超す、エルゲネコン・メンバーが逮捕され、有罪判決が下っている。
後に、エルゲネコンのメンバー28人が投獄され、199人は軽微な罪で逃れている。このうち4人は裁判官殺害の罪に問われ、終身刑になっている。これは2006年に起こった、軍人による事件だった。
この事件がきっかけとなり、その後、警察などが徹底的に犯罪を調査し始め、遂にはエルドアン首相(当時)の犯罪にまで、手が伸びていったのだ。その捜査の中心となったのが、ギュレン学校出身者たちだった。そのため、エルドアン首相とギュレン・グループの敵対関係が始まり、今日に至っている。
ギュレン学校の出身者の多くは、優秀で真面目であり、一流大学を卒業した者が多いが、その真面目さと優秀さが、国内の犯罪を洗い出していたのであろう。その成果が、エルゲネコン・メンバーの大量逮捕に、繋がって行ったわけだ。
このエルゲネコン・メンバーの逮捕が行われた時期、エルドアン首相はこの成果を自慢し、担当者たちを賞賛していたのだが、後にそれは自分に火の粉がかかってくる状態を生み出したわけだ。
エルドアン大統領は、このエルゲネコン問題を隠蔽するために、後にエルゲネコン・メンバーを釈放するよう命令し、いまでは、ほとんどが釈放されているという話だ。それはエルドアン大統領が、エルゲネコンを恐れたからではないか、あるいは裏取引をしたのではないか、と噂されている。
今回の検察側の主張では、エルゲネコンが存在するという確たる証拠は無い、またエルゲネコンのテロ組織も存在しない、それらのマネージャーもメンバーも、支援者も不在だということだ。従って、エルゲネコンによるとされる犯罪も、起こっていない。ということになるのだ。
昨年、トルコ政府はエルゲネコン問題は作り話であり、偽の情報と証拠による、デッチ上げだった、という結論を出している。そして、その偽情報と証拠は、ギュレン・グループのメンバーによって、デッチ上げられたものだ、と結論付けている。
さて、真実は何処にあるのであろうか?大分前にはチルレル首相の夫が軍幹部、マフィアのボスらと車に同乗しており、その車が事故を起こしたことから、彼らが同乗していたことが発覚し、最終的に、チルレル首相は辞任に、追い込まれている。
この段階に入り、チルレル女史は名誉を回復し、政界に復帰して来るのであろうか、とも考えたくなる一件だ。