『OPECの生産削減合意とカタールの石油』

2018年12月 8日

 

OPEC参加国14カ国とロシアなど、NONOPEC加盟の10カ国が、石油生産削減を合意した。その事によって、低迷する石油価格を、引き上げようということであろう。今回の削減量は120万バーレルであり、OPEC加盟諸国が80万バーレル/日、NONOPEC諸国の減産量が40万バーレル/日ということだ。その結果、石油価格は4パーセント以上、上がると予測されている。

 しかし、大産油国の一つであるイランについては、アメリカの制裁下であることから、この減産合意には縛られないということだ。トランプ大統領は11月から、イランの石油を一滴も売らせない、と豪語しているが、それが、現実に何処まで達成されるのかについては、あやふやだ。

 それは既に中国を始めとする石油消費各国が、アメリカの決定に従わない方向にあるからだ、中国、インドそしてヨーロッパ諸国も、今回のトランプの決定に反対であり、イランからの自由な輸入を継続する模様だ。

 このため、一部の石油専門家たちは、既にトランプのイラン石油制裁は、結果的に失敗に終り、制裁は立ち消えになるだろう、と予想している。そうなれば、多くの石油輸入国が、喜ぶということだ。

 いまの段階では、イランの石油が売られないということは、全く考えられないことであり、トランプ大統領の宣言は、始めから失敗が見えていた、ということであろう。それにも関わらず、トランプ大統領がイラン石油禁輸を宣言した裏には、何があるのであろうか。

 そして、いま注目すべきはカタールの、動向ではないか。OPEC諸国の減産が決められる少し前には、カタールがOPECからの脱退を、宣言している。同国の石油生産量は60万バーレル程度であり、そう多くはない。しかし、今回の減産量が120万バーレルである事を考えると、OPEC諸国が120万バーレルの減産を決定した一方で、カタールが60万バーレル生産する、ということの与える意味は小さくなかろう。

 そのカタールのOPECからの脱退決定は、誰のアドバイスによるものであったのであろうか、と考えてみたくなる。第一に考えられるのは、アメリカの石油専門家筋であろうか。いずれにしろ、今回のOPECによる石油減産は、イランも縛られないために、あまり効果を生まないのではないか、と思えてならない。